研ぐ
切れない刃物ほど使うと危険な物はない。切れない刃物で物を切ろうとすると力が入リ過ぎるので、滑ったときにグサッとなりやすい。
若い世代の家庭では、少ないサンプル数ではあるが包丁を研ぐことはほとんどないらしい。もっとも最近はセラミック包丁なるものがあって、研がなくとも切れ味が落ちにくい代物もあるらしい。なまくら包丁だと砥石が良ければ、大幅な修正ができるし、いったんは切れるところまで持っていける。しかし、刃の先端が光にかざすと太く見える状態で使っているのが大部分の家庭かもしれない。
研ぐことが難しい包丁は、硬度の高い特殊鋼たとえば高級スエーデン鋼でできた長らく砥いでいない包丁である。硬くて粘りがあるので、並の砥石ではなかなか修正できない。刃こぼれなどしていると手動では絶望的である。良い道具はそれなりの使い手を要求するようだ。
私の家のメイン包丁は、貝印の30年前のセミステンレス鋼の包丁である。少しちびてきたが、時々私が研ぐ。金剛砥で軽く研ぎ、中砥で整形する。仕上げ研ぎすぎると切れないと評判が悪い。使い手が、菜っ葉を切るとき押す様に切るので、ススキの葉のように押したときに西洋ののこぎりのように押したときに食い込む荒砥石の研磨跡を残すのがポイントだ。
なんとか鉋の刃を研げる私であるが、研ぐ技術を身につけたのは大学時代である。1970年頃の大学ではカラス口という道具を使って墨入れ製図をやっていた。そのカラス口を油砥石を使って、ケント紙がスパッと切れるまで研いだ後、スーと砥石に刃を直角にあてて切れ味を調整する。これが私の研ぐ技術の原点である。
自分の使う道具は自分相応の物を用い、自分で管理する。これがエンジニアの基本ではないだろうか。
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