コンデンサの直列接続
コンデンサの並列接続は問題ないが、直列接続をする場合には少し工夫が必要だ。2つのコンデンサC1とC2の直列容量C0は、1/C0=1/C1+1/C2であることは、高校物理で電気を習った人なら知っている。
現実に、コンデンサを直列接続する場合の1例としては、1個のコンデンサでは耐電圧が不足する場合に2個直列接続して耐電圧を稼ぐ例がある。このときには、直列接続点の電圧がどうなるかが問題である。2つのコンデンサの初期電荷を0として、C1=C2なら直流電圧Vを印加した直後の各コンデンサに掛かる電圧はV/2である。
しかし、時間が経過すると、漏れ電流のない絶縁体はないので、必ず個々のコンデンサの漏れ抵抗で決まるDC電圧分担配分となる。1個のコンデンサで負担できる電圧よりも高い電圧に耐えさせることが、この場合の直列接続の目的であるので、耐電圧を超える電圧が片方のコンデンサに掛かる可能性がある。
絶縁抵抗あるいは漏れ電流の値は上限だけ定められていることが多いので、電圧分担がV/2になる保証は何もない。むしろ、絶縁抵抗の高い片方のコンデンサのコンデンサが部分的に絶縁破壊を生じ、絶縁抵抗の低い方のコンデンサの漏れ電流と釣り合っている状態になることを想定する必要がある。
もっとも、安直で確実な方法は各コンデンサに並列に、絶縁抵抗より十分大きい電流を流す抵抗を並列に付加することである。これなら、C1とC2の接続点のDC的な電位をコントロールできる。
この手法を用いるときには、他の品種のコンデンサで得にくい高い耐電圧を期待することが多い。従って、抵抗の耐電圧を考えると、かなりサイズの大きな抵抗を並列に接続することになる。
並列抵抗が使えなければ、直列接続したコンデンサを場合によっては部分的に絶縁破壊状態で使用することになる。どのような品種のコンデンサをどのようなストレス下で使用すれば、ユニットの設計寿命を全うできるかは実績などの結果を反映したものとなっているはずである。
書物としては少ないが、部分放電に関した記述を拾い読みすると、高圧送電ケーブルでは1μクーロンの部分放電電圧を評価基準とする一方、無機材料を用いた強電機器では1万μクーロンの部分放電電荷量まで許容しているらしい。
直列コンデンサ、されど難しい。加速係数に関する記述はほとんどないので、解明された世界なのか、未解明の世界なのかも良くわからない。
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