オペアンプから入門
アナログ電子回路の入門方法には少なくとも2つの方法がある。ひとつは、従来から使われている方法で半導体物理を少し紹介した後に、ダイオード・トランジスタ回路を学ぶ方法である。他の方法は、オペアンプから導入する方法で、私は回路設計者のエントリー教育に有効であると考えている。
オペアンプ回路はオペアンプの内部回路に立ち入らなければ、比較的計算に乗る世界である。オフセット電圧やバイアス電流などの2次的効果を含めて、容易に解析可能な実用回路が多くある。うまく構成すると、ラプラス変換を使わない形で、周波数特性限界なども説明できる。
実践では素子の2次的特性を考慮して、初めて品種選択や特性の予測ができる。これらの計算を行いある程度解析主導型設計が、初心者でも手ほどきすれば何とかなる回路が、個別部品で組むオペアンプを主体とした回路である。
もちろんプロの卵として扱うわけだから、抵抗値の具体的な値やコンデンサを決める背景についても説明する。アナログ電子回路エンジニアは経験が物を言う技能者の世界であると見られがちであるが、オペアンプ回路から入り徐々に深いレベルの回路を扱わせていくことで、即戦力として育てながら実力を身につけてもらえるるのではないか。
個別部品で組むアナログ回路は、オペアンプを軸にシステムを組み立てていく。そして、オペアンプだけではどうにもならない機能をダイオード・トランジスタを組み合わせて作っていくことが多い。電源回路は意外に難しい。電子回路全体のエネルギーを制御するので、熱的限界も含めてさまざまな素子限界と直接向かい合い、かつ負荷短絡などの保護システムも考慮しなければならない。
最初から解析の難しい回路から導入するのではなく、がんばれば設計の背景を理解できる回路:オペアンプ回路から導入することは一案であると考えている。
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