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2006年8月 4日 (金)

金属箔抵抗

ふつうに手に入る最高級抵抗が「金属箔」抵抗である。秋葉原でも売ってるお店がある。値段は普通の金属皮膜抵抗より1桁か2桁高い。

昔、分解調査したときに見た金属箔抵抗はガラス基板上にバルクの金属箔を貼り付けて、その金属箔をつづら折状に抵抗パターンをエッチング形成したものである。

この種の抵抗の特長は、極めて温度係数が低く(公称数ppm/℃以下)、経年変化が少なくかつ抵抗精度も良好である。金属箔抵抗を用いる場所は、ブリッジの参照辺などの精密アナログ回路の心臓部である。私はこの抵抗を切り札の一枚として愛用している。

例えば、抵抗性センサのブリッジ回路ではとくに抵抗比の精度・安定性が必要で、素子感度が高くなる場所である。抵抗値の絶対値偏差は後段の信号処理でどうにかなるが、抵抗比の温度変化の補正は手間と技術が必要である。時間的変化に対しては私は対抗手段を持っていない。

センサブリッジ回路においては、時に1ppmレベルの比精度が必要になることがある。そして、アクティブセンサと同レベルの参照抵抗を実現する抵抗が金属箔抵抗である。この抵抗の性能を引き出す設計が高精度アナログ回路の入り口である。

金属箔抵抗は金属箔ひずみゲージと同じような金属材料を抵抗体として使用し、もっと繊細なパターンを形成している。熱ひずみの影響を受けるので、基板との熱膨張差によるひずみ効果も考慮して材質系が組み合わされているという。数ppmの抵抗値の変化を、可変温度環境下で計測し保証することは容易ではないと思う。異種材料が接するとき、ゼーベック効果により熱起電力も発生する。この壁を乗り越えて、性能を保証している電子部品のひとつが金属箔抵抗である。

たかが抵抗、されど抵抗。このような優秀な電子部品に支えられて、精密アナログ回路設計者の仕事が成り立つ。部品メーカーのエンジニアに 多謝。

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