現場百見
「現場百見」や「現場百回」などに類する言葉は、さまざまなもの造りにの場面でよく使われる。「百聞は一見にしかず」の言葉も広く使われている。
しかし、アナログ電子回路分野では実物を先に見ても私は良くわからない。他人の設計した回路での急所は、回路基板を見ただけでは把握できないのである。従って、私はまず回路図を読み解く。すぐに現場には駆けつけない。
電子回路の場合には、まず回路図を詳細に辿るデスクワークから始まる。そして、使用している部品の仕様を頭に叩き込む。回路図百見である。そして、担当者からいま起こっている現象とこれまでに試した調査結果を聞き取る。その後でおもむろに基板を見る。
実はこの手順は普通の上長にはすこぶる評判が悪いのだが、いまは自由にやらせてもらっている。
理科教育でも、実験や見せて興味を持たせる方法が多く取られる。しかし、こと電気に関係すると単に見るだけでは私は理解できない。説明を先に受けるか、定数が入っていなくとも回路図を先に見ないと、実物の見所がわからないのだ。
かくして、アナログエンジニアのお仕事は回路図を良く見ることから始まる。つぎに基板を眺め勘所の確認をし、最後に「現場」=ユニットの実装状態を見に行く。
このようなやり方なので、伝えるための回路図は見やすく辿りやすいレイアウトにこだわる。公表はするが詳細を詮索されたくないときには、見難くい回路図を特別に作成することもある。そして、どのような動作条件、どのような設計思想で作成した回路であるか判別する鍵ととなる回路定数をさりげなく・・・・ 記載しない。
これが回路のプロを自称するアナログエンジニアの手口だ。もちろん、回路のプロにかかればほとんど判ってしまうことは承知しているが、それでも動作お互いに細部の動作状況を掴むには手間隙がかかる。
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