赤道儀
地上望遠鏡は、方位θと仰角xの座標系をとる。X-Y座標系と同じように見たまま縦横に調整すればよい。光学系に依存して動かす方向は見たものとと異なる場合がある。
上下逆あるいは鏡像関係のときもある。大抵の地上望遠鏡では双眼鏡のように2回反射ミラーで見たままの像が実物の拡大像となっている。天体望遠鏡の場合は、多くの場合そのような無駄なことはしていない。ズーム接眼などは余り意味が無いと思う。
私の望遠鏡は口径9cm、架台は標準的なタイプの赤道儀である。
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この赤道儀は、本体のニュートン式反射望遠鏡よりかなり高価で、マニアには良く知られたT社製のものである。
なぜ、赤道儀を買い換えたか?。
ニュートン光学系は極めて単純な光学系であり、放物面主鏡による反射光線を、斜鏡により光軸に対し90度方向に曲げこれを接眼鏡で拡大する。良心的な望遠鏡メーカーではここでは差が出ない。2重星を用いた分解能テストでも理論分解能近くの数値が出ている。問題は、お値段に直接響く架台と微動機構の精度である。
ふつう、安価な天体望遠鏡はX-Y座標系の経緯台である。少しマニアックになると天体の日周運動を1軸で追尾可能な赤道儀を用いる。
その次に来るのは、日周運動を追尾して撮影するガイド撮影を試みることになる。
この段階で、架台の角固定能力の不足を痛感することになる。微動つまみを操作するだけで、視野が大きく揺れ動く。
これでは望遠ガイド撮影が出来ない。そのために、望遠鏡1式よりかなり高価で重くて扱いにくいT社製の赤道儀を購入したのだ。当時のT社は高島台近くの板橋にあった。
赤道儀、可搬式では据付が難しい。望遠ガイド撮影に耐える据付精度は角度の10’程度。極軸望遠鏡を使っても結果を見ての修正が私のレベルでは必要になる。東に向けて、南に向けて極軸の方位と仰角の調整が必要だ。望遠鏡用のドームを持たないアマチュアはこれを観測のたびに行うのだ。
架台、されど架台。光学系の性能と振動とのバランス。非常に難しい。この問題は15倍程度の倍率から始まる。扱いやすさと架台の剛性は基本的に相反すると思う。一流メーカーですら、その光学系の最大能力を引き出す架台をなかなか提供できない。
望遠鏡を選ぶなら、架台が丈夫でいかにも重々しい感じの望遠鏡がいつまでも使える望遠鏡だと思う。
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コメント
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入社した年(1982年)に、6cmの
屈折望遠鏡(赤道儀)を購入したのですが、
はは、いまはどこにいったか不明です。
光害はあっても、自宅近くで気軽に月とか
惑星をみたいという場合は「経緯台」で
十分だったかと小生も痛感しています。
いまなら、ドブソニアン、ですね?
投稿: Kimball | 2006年9月14日 (木) 07時07分