世界史と物理
どちらも大学受験では不利な科目である。
しかし、どちらの科目も極めて重要である。
世界史と物理を忌避する進学校は本当に、高校生の未来を考えているのか?私はその選択を行った校長は教育者として失格と考える。
日本史なら2週間の期間があれば、一流大学の受験に耐えるレベルに到達できる。
世界史は多数国家の地理的、宗教的背景などが相互に絡み合う科目だ。それだけに1国の歴史より複雑である。世界史を理解するには、地理的条件、時代、気候条件の変遷もふくめて多くの要因が絡む。
私論を述べれば、世界史を理解するには日本史の数倍の労力が必要だ。そして、現代の世界情勢を垣間見る必須の基礎知識でもある。
受験の労力軽減の観点からは、世界史をカットすることは戦略としてローカル最適解として有り得るかも知れない。しかし、その選択を行った校長あるいは教頭は教育者としては失格である。
高校物理。
極めて重い科目である。私の能力では1年では到底理解できなかった。正味2年かけた。問題演習も数100問解いた。
通常の方法と異なり、高校数学の概念と技法をフルに活用しようとする私の実感である。
大抵は、大きさのない物体の運動方程式から始まるが、弾道計算のところでかなりの落伍者を出し、力積の概念使う問題に対しては少数の理解者しかいない。
そのはるか先に電磁気現象がある。
小中学校の理科の世界とは異なる、そして現実世界と数式を結ぶ世界がある。物理を受験科目から外す指導をしている教諭はなにを考えているのだ!
このような背景があるからこそ、計測・電磁気学現象を多少なりとも理解するアナログエンジニアは絶滅危惧種となってしまうのだ。
まいた種は自分で刈り取っていただこう。重く重要な科目を無視した教育者は教育者とはいえない。軽薄な短期視野のビジネスモデルがあるに過ぎない。
物理学。工学の原点である。同時に数値感覚とモデルの限界も意識しなければならない科目であると考える。
世界史と物理を忌避する教育者と称する人間は、未来の日本のためにならない。
それは、その選択を行った人が良くわかっているはず。
その選択をしたこと自体が、教育者としての資質を問われていることを自覚して欲しい。
高校物理は、極めて重たい科目である。近年は2生から学ぶ高校も多いと聞く。
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コメント
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同感です。
国の義務付け以前の問題だと思う。教師を始め教育に携わる者、もっと広い見識を持つべきでしょう。
大学生の中で、アメリカと戦ったことがないと思っている者が12%も居たというアンケートを見て驚きました。
投稿: mako | 2006年10月30日 (月) 14時22分
難しい時代です。2007年問題と40歳前後の指導者層、管理職の技量の不足が同時進行中のような気がします。アナログシステムの基盤である部品技術にも将来不安を感じています。
投稿: 5513 | 2006年10月30日 (月) 20時31分
同感です。高校は、予備校ではないのだから、もっと広く豊かに勉強させればいいと思う。
また、世界史の発想がない人も、物理の発想がない人も、何か抜け落ちててつまらないです。
投稿: 本二階 澄香 | 2006年10月31日 (火) 21時13分