直流増幅率の測定
製作年代 1968年頃。自作。基板パターンはエッチング形成。フェノール樹脂基板。
基本原理は、コレクタ出力から変圧器を経由してベースに正帰還し発振の有無をVUメータで確認する方式だ。
どこかの電子回路関係の製作記事を見て作ったと記憶している。
実用範囲はhfe:10-240程度、コレクタ電流は0.1mA~2.5mAまで可変、pnp,npn極性切り替え機能付。必要電源は+12V。
なぜ、この回路を製作したか? それは私にとっては明白な記憶が残る。
エミッタ結合型シュミットトリガ回路の設計条件を確認するために、hfeをある範囲で測定する必要があったのだ。
学部3年のとき、有名教科書のこの回路形式のシュミットトリガの計算式が実体に合わないことに気がついた。自分の解析結果による計算式の方が高精度かつ広い範囲であっているためだ。
この解析方法は、自著「ダイオード・トランジスタ回路入門」の最終節11.4に記載したのでここでは触れない。
エミッタ結合形シュミットトリガ回路は、論理回路のシュミット入力回路にもっと簡単な形で使用されているがその回路定数はふつう公表されていない。
シュミットトリガ回路、ごく普通に使われている正帰還を利用した回路である。しかし、その解析方法は案外複雑である。この経験が、一般の学術書に記載されている計算式を丸呑みにしない契機となった。一般化する前に種々の条件での自分の提示した式の確認を怠ったのだ。
ベテランといえども、この程度の基礎回路で間違いを犯しうる。いまは、当時見た特性を回路シミュレータで再現でき、簡単にさまざまな条件で再現できる。
あくまでも自分で見た、確認した事実に頼るアナログエンジニアである。もちろん自分の見た範囲の限界は心得ている。
『人気blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。事実を信じるアナログエンジニアに貴重な1票をよろしくお願いします。【押す】
« 退職者を送る | トップページ | カメラレンズの解像度 »
「電子回路」カテゴリの記事
- 電流増幅器(2012.04.18)
- 高電圧回路(2012.04.10)
- 金属箔抵抗(2012.04.07)
- SW電源(2012.04.06)
- アナログ回路の信頼性(2012.04.05)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント