計算尺
工学の基本のひとつに、詳細に計算する意味のあるファクターか否かを判別する能力がある。
アナログエンジニアは2桁×2桁の積を2-3秒で有効数字2桁で暗算出来る。当然、位取りの能力がものを言う。
先日、簡単な積の問題を聴講者に計算させてみた。遅い。関数電卓を用いて計算しているのは増しな部類。計算器を持たない人は位取り:オーダーエスティメートすら出来ない。
工学とは実学であり、数値の把握無しには成り立たない。
この仮数+指数の演算は、計算尺の世界そのものだ。
画像をクリックしますと、詳細画面が出ます。
今でも、H社が製造を続けているとのこと。
計算尺競技に使われる計算尺は、直線状の対数目盛の入った竹ボディ+デコラ?張りの彫刻されたものですが、今では安価なものではないし少し大きいので持ち運びが不便なので、私は暗算に頼っています。
工学における要因の洗い出しには、まず、詳細検討をする必要のあるものとそうでないものと切り分ける必要がある。
私の場合、電流レンジで言えば100Aから10fA(フェムトA)なので、課題に応じて問題となる要因を洗い出す必要が生じる。
そこで、モノを言うのは概算能力、しかも桁が大きく暴れる問題の暗算能力である。
この能力、関数電卓の普及とともに低下したような気がする。
すばやく、妥当な速度で概算し、自分の知っている限りの物理化学現象の効果を予測する。
本来、この訓練は高校物理、高校数学で訓練されていてしかるべきものだと思う。
しかし、現実は厳しい。中学数学での符号付演算でかなりの混乱が生じる。実係数の連立方程式ではさらに脱落者が出る。文字係数の3元線形方程式(ほぼ三角行列となる易ししいやつ)などとんでもない。
工学における位取り能力の低下を憂えるアナログエンジニアである。
位取り能力なくしては、現実世界に生きるアナログエンジニアの生活は成立しない。
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
こんばんは。
難しいことは解りませんが、懐かしい計算尺です。
まだちゃんと保存してあり、活用されているようで・・
私も随分お世話になったツールです。
投稿: mako | 2006年10月12日 (木) 20時07分
写真は、去年八重洲で購入したものです。
銀座の文具店では、実用品があったと思います。丸は持ち運びが便利ですが2桁半の読み取りはちょっと厳しい。
投稿: 5513 | 2006年10月12日 (木) 20時41分