聞見考行
アナログエンジニアはとにかく聞く。相手の提起する相手から見た課題を把握するためだ。この時間は、私を知る人ほど短い。
次に見る。なにを見るか? システムブロック図を見るのだ。直接、現物や現場を見ることはしない。次にその詳細を見る。
そこで考える。しばらく私は沈黙する。
その方が見た課題と、私に見える課題を照合している時間。そんなに長くはない。相手の力量で見えた課題の本質が何か。どのように見えているのか考える。
場合によっては、現場を見ることなく指示を出す。「これとあれと確認してくれ」
判断材料が得られた時点で私は現場を見る。
現物を見る。
センサや電子回路の場合、現物を見る以前に、関連する要因とそのオーダーエスティメートを実行する必要があるのだ。現物の見所はどこ?、注意するべき数値は何か?
このプロセスにセオリーはない。相手と課題と緊急度によって異なる。
勘ではなく、人の心とモノの動きを考慮に入れて、論理的に必然性の高い項目から詳細解析に入る。
自分が手に負えない部分が主題であれば、専門家に依頼するために必要な情報収集を行う。
アナログエンジニアの知らない部分へのコンタクト準備である。
ここから先は、工学的必然性の世界。
私の成功率を支える感性であり、このひ弱なアナログエンジニアが生き残るためのカードの一枚である。
工学者として曲りなりに生き抜いてきた男の、それなりに柔軟な対応方法である。
自説のみには拘ることはない。その時点で、回路エンジニアとして、計測エンジニアとして、人の心の弱さを知る人間として対応するのだ。検討に値する事実を提示する人には最大の敬意を払う。
アナログエンジニアを説得するのは簡単だ。アナログエンジニアのその時点の前提を事実でもって崩せばよい。その時点から私はその人の力量に賭ける。それもアナログエンジニアの生き様である。
『人気blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今を生きる科学者・工学者にエールを贈る。ついでに、私にも貴重な1票をよろしくお願いします。【押す】
押しますと、私に1票が入ります。多重投票を回避するためIPアドレスはシステムが取得しますが公表されません。
« オペアンプの電圧利得 | トップページ | 鳳・テブナンの定理 »
「工学」カテゴリの記事
- スピードガン(2012.04.24)
- オシロスコープ(2012.04.21)
- 目覚まし時計(2012.04.19)
- 学士製造業(2012.04.12)
- 太陽光発電計測システム(2012.04.09)
「随想」カテゴリの記事
- 自分の身は・・・(2012.04.13)
- 百万本のバラの花(2012.04.08)
- アナログとデジタル(2012.03.12)
- 工業製品の使いこなし(2012.03.05)
- 自分の見える世界(2012.02.24)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント