非常用蛍光灯
写真は約10年前に購入した、乾電池(単1)6個を使用する非常灯。
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乾電池は交換しているので、本体は電池とは基本的に関連はありません。
思うところがあって、この非常用蛍光灯のDC-DCコンバータ回路規模を見たかったのだ。
TO-220サイズのトランジスタとパルストランス、電解コンデンサ2個、セラミックコンデンサ少々、抵抗は1-2本。
この回路規模で構成できる私の知る回路方式は、リンギングチョークコンバータ方式である。電圧安定化している回路規模ではない。
リンギングチョークコンバータ方式であれば、基本的にエネルギー制御自励発振するので、放電管点灯に必要な安定器は不要である。
この用途には、高価なエポキシガラス基盤は不要。当然、片面フェノール基板だ。
部品数が少ないだけに、設計は恐らく難しい。量産規模も大きい。
心臓部はパルストランス。そして負荷である蛍光管の特性とのマッチング。
この回路規模、単純な部品であれば、逆解析:リバースエンジニアリングは簡単に出来る。
しかし、私はふつうその解析はやらない。
その設計者の思想を盗むことになるからだ。アナログエンジニアは、結果として類似物を作ることになっても特許に抵触しなければ構わないと思っている。
しかし、回路定数とそれを決めた設計戦略を盗むことは潔よしとしない。少しは異なる経路を辿って、その結果、ほとんど同じ回路に行き着くなら、その設計者に敬意を表したことになると考える。もちろん、特許に抵触しなければ、であるが。
簡単な回路ほど逆解析は易しいが、その設計は難しくなる。
この推理はあくまでも部品と入出力条件から考えたものである。
この値段で、この耐久性。簡素な回路。
見事である。
私はこの回路を逆解析することは恐らく無い。結線図をパターンから再構成し、回路定数を特定し回路シミュレータにかければその設計手法はかなりわかるだろう。でも、やらない、やる気は無い。
それがアナログ回路エンジニアの美学である。リバースエンジニアリングは美しい手法ではない。どちらかというと、卑怯な手法である。
創るより、まねる方が易しいのが世の中の常である。しかし、まねるだけでは決して一流にはなれない。そう考えるアナログエンジニアである。
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