洋弓の矢の選択
洋弓の矢の選択は矢尺(arrow length)の決定から始まる。矢尺の測定原点は2種類あり、ポイント先またはシャフトのカット面から、矢筈の窪みまでを矢尺という。初心者向けには長めの矢が安全である。矢先を保持するアローレストから矢が落ちた瞬間に弦を離すと最悪、弓を持っている左手先の方向に射出される可能性があるからだ。
中級者の矢尺の選択は意外に難しい。引く長さを一定するため(初速度と姿勢をを保つため)に、クリッカーと呼ばれるインジケータを使用し始めるからである。長すぎる矢はインジケータが使えない。短すぎる矢は不自然な姿勢になる。しかも、フォームが十分固まっていないので疲れてきたりすると体が縮んで伸びなくなる。弓も強くなってきている割りにまだ体力に余裕がない。
上級者になると、矢尺の長短に対応できてかなり短めの矢でもインジケータを使って射てるし、長い矢をインジケータなしでも安定に射てる人もいる。
ただし、通常弓(リカーブボウ:RC)用の矢は剛性(スパイン)が適度にする必要があり、射の瞬間の衝撃荷重で適度に撓むことが望まれる。20m程度の距離で矢の水平振動が収束する程度のスパインが好まれるようだ。複合弓の場合は、発射器を使うので、許容スパインの範囲は広い。
通常弓でも複合弓でも的に着弾する際には、秒速数10mの矢が10cm程度の距離で停止するので、極めて大きい減速度/衝撃荷重を受ける。矢はこの衝撃荷重に繰り返し耐える。
矢軸の材料は、パイプ状のカーボンファイバーCRP製、超超ジュラルミン材、超超ジュラルミンパイプ+高強度カーボンファイバー被覆材である。いずれも完成矢で10数gから20数gである。FRPパイプは最近ではほとんど使われない。
超超ジュラルミン+高強度カーボンファイバー被覆の矢は1本で数1000¥するが、このクラスの競技用の矢を使用する人は上手なので、平均消耗率は1回/3000射以下だとされる。矢の損傷は的面を外して矢止めの畳を貫通し木などの硬いものに刺さった場合や、矢に矢が当たり矢軸を損傷するケースが大半である。
洋弓の矢は5mmφ程度が一般的であるが、冬場の室内ターゲット競技は18mで行われ、かつ点数は矢軸の外周が点数円と接すれば良い方の点数に数えてもらえるので、11mm程度の太いジュラルミン矢を使う人もいる。
私の場合は、1本1000¥しないカーボンファイバーで十分な腕前であるが、矢は身分不相応な0.2mm厚の7075系超超ジュラルミンに0.1mmのカーボン層を貼り付けたものである。長さは26 3/4インチ、弾頭(point)は80グレイン=約5g、総質量17gである。
冬の室内ターゲットに出られる腕前に到達できるかなー。競技距離は18mと短いが、20cm的×3なので、私の場合はミスショットをすると点にならない。平均8点くらいが目標か。的は6点までしかないのだ。
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←写真は競技用矢を約20cmにカットしたもの。実際の長さは26インチ3/4
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