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2006年12月 5日 (火)

負荷曲線

Photo_48 トランジスタ回路の負荷曲線をプロとしての私は使ったことがない。マトリックスで回路方程式を解いたのは1度だけ。こんなイントロで入ると、通常、結構な反発がある。伝統的なやさしく説明するための手法であるから・・・。

1石トランジスタ回路の解法には、ふつう負荷曲線を用いた説明が行われる。実はこれ、2元連立方程式を図解法で解いていることに他ならない。しかし、立式過程が明示されていないので、直線を一意的に特定するための解説が饒舌になる。

鶴・亀算は和算の技法のひとつで、結果的に2元連立方程式の移項過程を言葉で説明しているに過ぎない。鶴・亀・フラミンゴ(足1本)算をこの方式で説明するのは、かなり困難だ。

連立方程式の解法はすでに中学校で学んでいる。これを使わない説明は、学生にとって失礼というものだ。式で説明し切れなければ、その根元の数学力の復習までやってあげるのが筋だと思う。

私は社内教育も担当していたので、時々教育論議を妻と交わすこともある。符号付加算を学んだ後、符号付乗除算をやると結構な混乱がある。日常生活ではとりあえず加減乗除ができればことが足りる。しかし、理系で本格的にやろうとすると、連立方程式はすでに高校時代で必要になる。物理を学ぶなら、高校数学で学びたての微積分を使えば、覚える必要のある公式の数は激減する。

負荷曲線を用いた説明図は多くの場合、工学的にはかなり不正確である。入力電圧をIB-VBE曲線を用いてIBに投影する図が甘い。IC-VCE曲線も部分的な誇張が多くの場合ある。

何よりもいやなのは、正弦波電圧を入力すれば、負荷曲線上でIC=0付近とVCC=maxでもひずみのない正弦波が描かれていることだ。トランジスタの入力特性により、40mVppを入力すれば、npn1石エミッタ接地増幅器の出力は大きく歪む。+方向では正弦波の頭が丸くなり、-方向には尖る。これが現実だ。

説明のための説明が長くなると、一理あっても百害ばかり。負荷曲線の説明図は、その回路を実際に作って測定した人の使う手法ではない。と思う。これは実務派アナログ回路エンジニアの主張である。

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