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2006年12月21日 (木)

動態保存

棒秤、棹秤とも言う。

1213 ←約60年前に父親が自営業を始めた頃の棒秤。

写真をクリックしますと詳細画像になります。約90KB.

永らく使用されていなかった棒秤。見事な製品だ。

アナログエンジニアはこの棒秤を動態保存している。

溶剤で汚れを落とせば、美しい素材の色と細工が見える。研磨はしていない。ぜひ詳細画像を見ていただきたい。美しい色合いの樫の中央が膨らんだ棒。目盛はアルミの象嵌である。汚れた古い器具を見せても感動を呼ぶことはない。

動態保存。これが感動を呼ぶ古い工芸品の力だ。

私は、この棹秤を動態保存し一般計量士の知識で各種の手入れを行い、基準分銅を使用して校正して実使用している。使える状態で保存し、使ってみせることが大切だ。それを行うには技術の伝承が必要である。

つり手の皮は、当然風化するので私が種々の条件を考慮して新しい革にに交換してある。元の革はもう少し厚く細かった。革が細いので最大計測質量25kgを支えると手が痛い。そこで、高強度の自然革に交換し、持ち手の部分を広げた形とした。この部分の質量はモーメントの関係からあまり計測誤差とならないが、なるべく近い目方となるように細工した。

全長、約80cm。0-7kgと~25kgの2重レンジの棒秤である。被測定対象を釣るフックのピボットと革ベルトの支点および分銅の木綿綱が棹に触れる点の位置関係をよく見て欲しい。への字形の微妙な位置関係にある。への字の曲がりを強くすると、絶対感度は鈍くなる(安定点が広くなる)。

棹は中央がやや膨れた形になっているので、高荷重では絶対感度が鈍くなり、ほぼ相対感度一定の状態の棒形状をしている。

写真の状態で0-7kgの秤量である。棒秤でゼロ点(無荷重)が測定できるタイプは珍しいと思う。この棒秤は、つり革よりもフックよりまで目盛がある。ゼロ校正が可能。

潤滑油には、現代の低粘度モリブデングリスを使用した。

ゼロ校正を行い、次に手持ちのトレーサブルな基準分銅1431.4gでスパン校正。この状態で測定した数個のダンベルで約6.5kgまでの負荷をかける。棒秤は原理的に力モーメントの釣り合いであるから、直線性は良好である。確認。

スパン誤差と感度に影響する分銅の吊紐は健全である。

棒秤での測定にはコツがある。バランス点から大きく外れていると分銅が棹から落っこちる。そこで、負荷を床に置いたまま棹の端を支えながら持ち上げる。棹が上がりすぎるようであれば、分銅を支点から遠ざける。

棹が上がらなければ、分銅を支点に近づける。やや上がり気味の状態で、棹の上側に手を添えて安定点を探る。これがアナログエンジニア流の測定手順だ。

基本原理に忠実な測定器具は、その2次効果まで考慮して扱うことができる。高校物理+高校三角関数の知識で測定器の感度まで計算可能である。これがアナログ測定器の良さ。

動態保存は難しいが、それだけに単なる古びて汚れた陳列品とは異なる。

アメリカでは樫の木で作られた帆船(軍艦)を維持するためにひとつの樫の木の森まで維持していると聞く。樫の船体が朽ち果てるとき、残された図面と再建造を行うための加工法まで伝承されているのだ。これが動態保存の厳しさだが、それだけに理系人間の心を打つ。

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コメント

懐かしいです.野菜を売りに来る行商人が使ってましたし,近所の商店などにもありました.2重レンジはふつうに見かけましたけど,ゼロ較正できるのがあったかどうか…
「バネの伸びは一次函数」というのを当時は素朴に信じていてバネ秤の方が便利と思ってましたが,バネの伸びの直線性がどの程度のものか後に疑問を感ずるようになり,棹秤の原理的な良さを見直しました.我が家のバネ秤にはヒステリシスがありました(原因は摩擦?)

三ねんせい様、ご訪問ありがとうございます。
私も校正している最中にやっと気がつきました。真鍮の部分に0kgまでの目盛が刻印されていました。
なお、分銅を使用して比較するものは質量計で、バネを用いるものは重量計(力)なので、厳密には重力加速度の場所の違いの変化を受けます。
なお、バネ秤にはガイド部と他端に擦る部分があります。ここに油を挿し、数回動かすと改善される場合があります。最大負荷と中間負荷でヒステリシスが同程度なら、バネ材料そのものが塑性変形している可能性も残ります。

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