洋弓の弦
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アーチェリーの弦に必要な性質は、強い、軽い、伸びないの3つである。
現在よく使われている弦の素材は、超高分子ポリエチレンが主流である。完成弦としては「ファーストフライト」など。
超高分子ポリエチレン弦は、破断強度が高く適度に伸び、比重が小さい。66インチ弓用で6-7gである。射った感触は適度にやわらかく、比較的破断しにくい。融点が低いので熱に弱いとされる。上級者だと気温による照準変化があるという人も居る。
アラミド繊維(ケブラー)は20数年前に、多く使われた弦の素材である。高強度であり、とにかく伸びない。比重が少し大きい。矢を射出する瞬間に弦は高速で動くので、矢の速度を上げるには伸びず、必要な太さにしたとき、単位長さあたりの軽い素材がよいのだ。伸びないので、原糸から自作するのは案外難しい。数本の原糸をループにして、1本の弦に束ねるのであるが、長さのばらつきをかなり小さくしないと局部的に原糸の負担荷重が大きくなる。
この結果、矢を射出した直後にブチッと破断することがある。リムの上下方向の運動量は弦に衝撃荷重を与えるので、矢を射出し終えた瞬間には、弦の伸び×弾性率で決まる短い時間で、リムの運動エネルギーを吸収する。
ケブラー弦は、射出の瞬間の衝撃が大きく硬い感じとなる。また、切れやすい。
もっと古くはポリエステル弦(ダクロン)が使われていた。今はもう手に入らない。手に入れる必要もない。
矢の質量は20g前後で、弦の質量は10g近くあるので、弦の物性値がかなり矢の初速に影響を与える。
超高分子ポリエチレン弦は切れにくく、最も初速の出る弦である。
したがって、アーチャーのほとんどの方が現在では超高分子ポリエチレン弦を使用している。
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