エミッタ接地増幅器
抵抗負荷エミッタ接地増幅器1段の電圧利得Aを計算して見よう。入力抵抗rは熱電圧VT(常温で26mV)とベース電流IBを用いて、
r=VT/IB
コレクタ抵抗Rにかかる電圧をVc、コレクタ電流をIC、電流増幅率をhFEとすると
R×Ic=Vc IC=hFE×IB 入力電圧をVi、出力電圧をVoとすると
A=RhFEΔIB/(rΔIB)=R×IC/VT=Vc/VTとなる。
従って、エミッタ接地増幅器の電圧利得Aはコレクタ抵抗にかかる電圧Vcが判れば、直ちに計算できる。
例えば、Vc=2.6Vなら 電圧利得Aは100となる。
しかし、この計算手順で電圧利得Aを求める説明を行っているテキストは日本では比較的少数派である。
信号源がRsなら、最初の式でr→(r+Rs)と置き換えて再計算すればよい。rはIC=1mA、hFE=100として2.6kオームである。この値に比べてRsが十分小さければA=Vc/VTであり、電圧利得AはRs>0なので信号源抵抗を考慮すると電圧利得はVc/VTより少ない値になる。計算量が少なく、発展性のある解法で電子回路を学ぶことがプロとしての回路屋への早道と私は考えている。
hパラメータを主体に説明するアナログ電子回路教育は現状のままでよいのか。そしてhパラメータは個別部品のトランジスタデータシートに記載されることは稀である。トランジスタは単なるhパラメータを固定とする使われ方は実践では少ないのである。
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