ダイオードの順電圧
横軸は電流(A)、縦軸は接合電圧(V)
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データーは実在する小信号ダイオードの特性である。
シリコンダイオードの電圧・電流特性を、電流10桁の範囲で実測した経験のある電子回路エンジニア、教授者は日本にどのくらい存在しているのだろうか。
ダイオードの電流IDとダイオード電圧VJの関係式は
ID=IS*{exp(VJ/mVT)-1} ・・・・・(1) で表されることになっている。ISは飽和電流、mはエミッション係数、VTは熱電圧である。
半導体関連の少しまともな本にはこの式の記載がふつうにある。
このデータは、家庭環境でも実測できる。
1個 数10¥のJ-FET入力オペアンプ電圧フォロワ+10MΩ~1kΩの抵抗Rと可変電圧源で測定できる。家庭環境ではノイズ環境を十分制御出来ないので1000pFから10000pFのフィルムコンデンサをダイオードに並列接続し、微小電流でフィルタ効果を効かせることがポイントだ。
熱電圧は常温で約25mVなので、VJが100mV程度の領域までは電流対数の片対数グラフ上で直線となる。
ただし、電圧測定をデジタルテスターで行うと、その入力抵抗は10MΩ程度であるので、その負荷効果でこのようなグラフは得られない。この特性を実測して、本に(1)式を記載している著者はどのくらい存在しているか。
J-FET入力のオペアンプは典型値で数pAの入力電流しかないので、VJを直接計測しないで、J-FETオペアンプ電圧フォロワをエレクトロメータとして使うことにより10^-12A台の計測が可能になる。
ショットキバリヤダイオードなら、デジタルテスタでもこの領域の測定が可能である。
アナログエンジニアは1Wにも満たないこのクラスのダイオードにμsの短パルス定電流大電流負荷を掛けて、ダイオードの破壊試験を行ったことがある。そのデータとこのデータを接続すると、12桁にわたるダイオード特性を把握できる。
たかがダイオード特性であるが、測定値と理論値をきちんと対比させ実証するのが工学である。
なお、このダイオードは直列抵抗成分RSが1.5Ω程度あるので、10mAを越える電流領域では、
VJ'=VJ+RS*IDが観測される。そしてRSは半導体抵抗成分であるので、自己加熱に伴うRSの変化が顕著に認められる。半導体の熱的破壊はジュール積分でおよそ評価できるが、その挙動はドラスティックである。
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