コンデンサ平滑回路
電子回路でポピュラーな整流回路は、変圧器を経由しダイオードで整流、コンデンサで平滑する回路である。
初歩の電子回路教科書で、ダイオードの応用例としてよく出てくる。しかし、この回路の平滑出力電圧を妥当なレベルで計算できない。
ダイオードが存在するために、非線形方程式になるためである。
電子回路の直流電源を得るための基本回路が、コンデンサ入力平滑回路であるが、この回路も含めて実用レベルで設計計算をできる方はかなり少ないと思う。
古くはOHシェーデの図表があるが、電源トランスの等価直列抵抗を見積もれないと出力の直流電圧を計算できない。変圧器の交流出力のピーク値が直流出力になると説明したら、実用的には間違いである。
実用の小電力回路では、交流実行値の1.4倍ではなく1.2倍程度の直流電圧が得られる。
コンデンサ入力平滑回路は基本的にはピーク検波回路であるが、ピーク検波に近くなるにつれ、電流のピークが非常に大きくなる。通流期間が短くなるとピーク電流が増え、電源やダイオードの直列成分での電圧降下が影響するためである。
手計算は厳しいので、回路シミュレータか自前の解析プログラムが必要になる。
たかが電源回路である。しかし、電源回路はできて当たり前と言われるが、電子回路解析の難しい部分を多く含んでいる。専業メーカでは、電源回路をこなせる電子回路設計者は一人前という。私も同感である。
解析技術としても易しくなく、一歩間違えば部品の損傷、発火発煙事故に繋がる。しかも出来て当たり前の回路とされる。
電源回路は電子回路システムのインフラである。この基本部分が設計できなければやはり一人前の回路設計者とはいえないだろう。
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