仮想短絡
オペアンプの仮想短絡の考え方を用いると、「オフセット電圧が小さく十分に負帰還がかかっている」ことを前提としてオペアンプ回路の入出力特性を簡単に把握できる。非常に便利な計算法、概念であるが前提を忘れると大きな錯誤が生じえる。
DCではオペアンプの電圧利得は数10万あるので、一般的な使い方では回路全体の利得を、+入力端子と-入力端子の仮想短絡が成立するものとして計算しても0.1%を超える利得誤差を生じることはまず無い。
しかし、汎用オペアンプの周波数特性は高域で低下し、汎用オペアンプなら1MHzくらいで利得1となる。-6dB/octで周波数特性が制御されているので、10kHzならオペアンプの実効利得は10^4で回路としての電圧利得を1000倍を目指すと、数%を越える利得誤差が出る。
負帰還のかかったオペアンプ回路で、+入力端子と-入力端子がほぼ同一電位になることの背景をきちんと知らないと、いつかは間違い設計を行うことになる。
仮想短絡の概念は、オペアンプの無限大利得と負帰還を前提にし、+入力端子と-入力端子が同一電圧になるように出力が制御されることを意味する。正帰還を施すオペアンプ回路もある。
仮想短絡では、実際の短絡のように2つの入力端子間に電流が流れることは無い。
実践のオペアンプ回路を学ぶのであれば、少し回り道でも、きちんと有限利得アンプの実電圧利得を学ぶことが効率的であると思う。
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