逆起電力
インダクタンスを流れる電流をオフすると逆起電力が発生して・・・・という説明方法はアナログエンジニアの好む方法ではない。
回路の接続状態が変化するとき、インダクタンスを流れる電流は急には変われないので、切り替え後にはインダクタンスを流れる電流が変化しない最も流れやすい場所を経由して電流が流れる。
電流の向きと電圧の向きを逆向きに取ったときには、電圧と電流の間には
V=LdI/dt の関係がある。電圧Vが先に決まることもあれば、電流Iの変化率が先に決まることもある。「起電力」という言葉を使うと、なんとなく電圧源の値が決まっているような印象が強い。
逆起電力の言葉を使うのであれば、インダクタンスがエネルギーを蓄積しつつあるときには「順起電力」という言葉を使うべきではないか。電圧の方向を強く意識させないと、応用が効かないと思う。
インダクタンスの電流は急には変われない。急変させようとすれば大きな電圧を加えて電流の変化率を大きくしなければならない。このため、インダクタンスは回路を切り替えた直後は、その直前の電流を同じ向きに流そうとし、最も流れやすい経路に電圧を発生させて電流を流す。その電圧が大きければV=Ldi/dtに従い速い電流の変化が起きる。
逆起電力の言葉を使おうとすると、DC-DCコンバータやSWレギュレーターの定量的説明が私は出来ない。
と言う訳で、私の本には一度も「逆起電力」の言葉は出てこない。数式が出てこない本が必ずしも易しいとは言えない。
たとえもよいが、その後の発展性を見越した比喩を使いたいものだ。
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