整流回路1
電子回路ではふつうダイオードとコンデンサで整流平滑回路を構成する。
とくに小容量で無い限り、全波整流を行いコンデンサで平滑する。
多くの整流平滑回路として示される図はAC電源とダイオードとコンデンサ、そして親切であれば負荷抵抗が記載してある。この状態では、電源の起動時に、突入電流と呼ばれる充電電流が流れる。この値は数100Wクラスのトランス絶縁あるいはSW電源などの商用電源直接整流を行う回路では数10Aを簡単に越える。
コンデンサ入力整流平滑回路は、理想的に考えると電源投入時に無限大の電流が流れる。こんな回路は実用的には存在し得ない。例えば、電源直接整流のSW電源では、ふつう電源投入時には数オームの抵抗を挿入し、最初の突入電流が落ち着いた時点で、その抵抗をサイリスタ、あるいはトライアックで短絡する方式が取られる。
もっとも、最近は高調波と力率改善のための回路を備えている例も多いので、この型にならない電源も多くある。
コンデンサ入力平滑回路では、電源の内部抵抗やダイオードの抵抗を回路図には無くとも意識する必要があるのだ。そして、これらの明示されない寄生抵抗を考慮すると、整流出力は√2倍にはならず、その値はもっと小さくなる。
この内部抵抗を考慮した整流平滑回路の計算は、単純計算では解けない。設計図表は古くから知られているが、現在は寄生抵抗を考慮した回路シミュレータで計算するのが効率的である。
コンデンサ入力整流・平滑回路の問題点は起動時にある。しかし、チョークコイルを用いた回路に比べ過渡特性や電源OFF時の対策が容易なので、電子回路では今も多く使われる。
『人気blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な1票をよろしくお願いします。【押す】
「電子回路」カテゴリの記事
- 電流増幅器(2012.04.18)
- 高電圧回路(2012.04.10)
- 金属箔抵抗(2012.04.07)
- SW電源(2012.04.06)
- アナログ回路の信頼性(2012.04.05)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント