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著作

  • 共著:「次世代センサハンドブック」培風館(2008)、「マイクロセンサ工学」技術評論社(2009.8)
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  • 単独著
    アナログ電子回路設計入門 (1994.12)、コロナ社: 実践アナログ回路設計・解析入門 (2005.1)、日刊工業: オペアンプ基礎回路再入門 (2005.7)、日刊工業: ダイオード・トランジスタ回路入門 (2005.12)、日刊工業: スイッチングコンバータ回路入門 (2006.9)、日刊工業: これならわかるアナログ電子回路基礎技術 (2007.6)

専門とする事項

  • 電源を含む精密アナログ電子回路の設計・開発、およびその教育、技術指導。センサ・アクチュエータシステムの構築。電子機器の不良解析指導および再発防止指導。解析主導型設計の推進と回路シミュレータの実践的活用指導。技術的側面からのプロジェクト管理指導。

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2007年6月

2007年6月29日 (金)

電磁流量計

ファラデーの法則を利用する。

磁束密度をB、測定管の直径をD、流速をVとすると、BとVに対して直交する方向に起電力Eを生じる。

E=BDVの関係が成り立つ。測定対象は導電性液体、具体的には水道水から海水・下水まで多くの導電性液体の計測がこの計器の使用目的である。

多くの流量計はピンポイントの流速を元に流量を測定するが、電磁流量計は比較的流速の管内分布の影響を受けない。

管の直径は最大2000mm以上、最小は数mm程度のものが製作されている。東京都の全体の取水流量に匹敵する流量から水がぽたぽた落ちる流量までの計測ができる。

式にD=0.1m、B=0.01T、V=1m/sを代入すると起電力E=1mVとなる。

この小さな電圧を、不安定な電極と液体の接触起電力の中から測定するために、通常、磁界を商用周波数の数分の1から数10分の1の周期で反転させ、起電力Eを交流電圧として捉える。

信号源インピーダンスは高く、かつ変動するので、ブートストラップ回路などのインピーダンス変換をおこなってから、本格的な信号処理を行う。

10cm立方のエリアに0.01Tの交番磁界を形成するには、100W前後のピーク電力が必要である。

交流・低周波・高インピーダンスでかつ1mVで0.1-1%レベルの増幅するにはそれなりのアナログ回路技術が必要である。

センサ信号処理の方針は、具体的数値を検討して初めてその戦略が立つ。

良く知られたファラデーの法則ではあるが、現実的な数値を代入し、電気化学的な不安定要因を考慮して信号処理を行わなければならない。

その時代、時代における具体的数値例をあげ、センサの持つ影と日向の世界を見せることが工学の世界の始まりであると考える。

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2007年6月28日 (木)

ドタキャン

土壇場で講演あるいはセミナー講師が来ないこともある。

事情により主催者側で催行がキャンセルされる場合もある。

講師は一般的に良心的であるから、突然の弔事、動けないほどの体調不良、交通手段の麻痺などがおもな原因だ。

私は、講師になることもあれば、講師を招く立場であったこともある。

講師としてのドタキャンは今のところ一度も無いが、体調不良で厳しかったこともある。

セミナーを開催する立場の時には3度ほど、講師不到着のケースもあった。そのときは、講師の事前資料を元に、自分で、数時間の演題を無理やりこなした。複数講師でセミナーを開催する場合には、各講師の持ち時間を調整する手もあるが、この方法は類似ジャンルの講師が存在しないと不可能である。

ドタキャンの対処を明示した依頼は私の場合は非常に少ない。

幸い私は数十回の講師を務めドタキャンは一度も無いが、将来にやらない保証は何も無い。

講演に参加してくれる方は、交通費・宿泊費・受講料を払って参加してくれているのだ。数10名のセミナーだと、それらの経費を自分のドタキャンで慈悲支弁するにはちょっと厳しい。

私の場合には一人で2-3日担当するケースが多く、かつ専門分野が一般的でないので代理をすぐには立てられない。

故意によるドタキャンはやるつもりは毛頭ないが、約束を実行できないケースもありえる。主催者側の都合によるドタキャンでは、その準備が総て無駄になる。12月の3日間、一人講師のプロジェクトはすでに走っている。本1/2冊分くらいの準備が必要であるが、依頼はMailのみである。自分の責任範囲を少しでも明確に出来ればな-と考えるアナログエンジニアである。

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2007年6月26日 (火)

電源パスコン

_1804

←庭の紫陽花、ようやく咲きました。

通称パスコン、=バイパスコンデンサは精密アナログ回路には重要な部品である。

多くのアナログ回路ではバイパスコンデンサを必要とする。

例えば、オペアンプ回路ではその周波数帯域と同様の電源除去比しかないので、電源に高周波成分が含まれるとそのノイズ成分が出力に現れる。

アナデジ混在ICでは、パスコンの種類・容量、接続パターンまで指定されることもある。

電源がスイッチング電源の場合には、スイッチング周期に同期して高周波ノイズがアナログ回路回路に入りやすい。

このため精密アナログ回路では、スイッチング電源のあとにドロッパ式の3端子レギュレータを使う場合さえある。

必要に応じ、0.1μFくらいのコンデンサをICの電源ピンのすぐそばに接続し、種類の違うもっと多きい容量のコンデンサを付加する。

電源からICへのパターンや配線が長いと自分の出力で回路が発振する場合すらある。

電源パスコンを使わない回路は高度の実装技術を必要とし、大規模回路ではかなり実現は困難である。

CCDデバイスなども電源ノイズを嫌う。電源パスコンの有無でノイズレベルが1桁変わることもある。

アナログ回路では、できる限り電源線は太く短く布線するが、要所、要所に電源パスコンを挿入するのが常道である。

回路は電源技術に始まり、電源技術に戻ると考えるアナログエンジニアである。電源は難しい。

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2007年6月25日 (月)

反転増幅器

_1809 ←我が家の庭からのバラ。バラの季節はまだ終わっていない。

オペアンプで反転増幅器を構成するには、信号源〔電圧源)Viとオペアンプ、電圧源とオペアンプの-入力端子間に挿入した抵抗R1とオペアンプの出力と-入力端子間に挿入した抵抗R2および電圧基準点(GND)にオペアンプの+入力端子を接続する。

回路屋なら誰でも知っているこの回路構成で、Vo=-R2Vi/R1の入出力特性を持つことは誰でも知っている。

問題なのは、この計算では電圧源Viの信号源インピーダンスrを0と考えて計算していることにある。

通常の電子回路では、信号源インピーダンス0はオペアンプで増幅した後の出力など限られた場面にしか登場しない。

したがって、実回路では利得A=-R2/(r+R1)となる。r=100オーム、R1=10kオームで1%の誤差となる。

したがって、オペアンプによる反転増幅器は多くの場合、センサなどの信号源に直接接続することは無い。

多くのセンサの出力インピーダンスを無視できないし、かつ変動する。このため、精密電子回路回路では、非反転増幅器で、所要の帯域内で出力インピーダンスを事実上0にするインピーダンス変換を行う。

寄生インピーダンスrは温度依存性や、センシング量の影響を受けやすい。

センサがらみの電子回路では、演算の自由度の狭さを覚悟して多くハイインピーダンスを低インピーダンスに増幅する非反転型を使用する。

オペアンプの反転増幅器は信号源インピーダンスの影響を受け、信号処理に際して考慮すべき項目であることを明示した電子回路本は非常に少ない。

私は、常に増幅度が信号源インピーダンスの影響を受けやすいことを強調して著作を行っている。

信号源インピーダンスを考慮し回路構成を選択する情報がなければ、回路構成法を体感できないと考えているアナログエンジニアである。

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2007年6月22日 (金)

熱電対

熱電対は2種の異なる組成の金属線を接続して構成される。

独のZeebeckが発見した効果で、金属材料の組成などを制御すれば再現性のよい熱起電圧が得られる。数少ない互換性を持った温度センサとして工業用に広く用いられている。

J(クロメル/コンスタンタン)で約0.1mV/℃の起電力が出る。

ゼーベック効果は基本的に温度差によって起電力が決まるので、1℃当たりの起電力があまり大きくなくとも精密な温度計測が可能である。

金属線Aと金属線B 2本を直列に接続し、2つの異種金属の接続点を作る。金属線Bはオペアンプのすぐ近くで接近させて回路を構成する。

接続点の片方は外気に、他方を電子回路の発熱部に接続する。

このような構成にすると、すこし信号レベル低いけれど、室温と電子部品の温度差=温度上昇を精密に測定できる。

ちょっと高級なデジボルを使えば、今の技術ではΔT=0.1℃程度の測定が確実に行えるのだ。無ければ低温度ドリフトのオペアンプでちょっと増幅すればよい。

この手段で、アナログエンジニアはいつも温度差の精密計測を行っている。ただし、私のほかには、この方法を使っている人はいなかった。基準温度接点の精度は1℃くらいがふつうなので、温度差の精密測定には不向きである。温度計も2台必要である。

差の計測にはこのほかにも種々の巧妙な手段が存在する。

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2007年6月21日 (木)

チェンジニア

本当のエンジニアなら考える。機器が故障あるいは不具合が生じたとき、ひたすら部品あるいはユニットを交換するエンジニアを揶揄すれば、「チェンジニア」

「チェンジニア」方式で修理されると、無駄が生じるだけではなく、間欠性の不具合の対策が不完全になる。

15年前のノートパソコン(プラズマ表示の物)を購入したときに実体験した。

保障期間中にマウスが効かなくなった。マウスを交換しても直らないので、その旨告げて修理依頼。その部分は直った。

しばらく使用しているうちに、内蔵FDDが不調。ディスクが時々読めない。3回目もあった。

このときも保障期間中だったので、サービス拠点の所長と交渉して、点検修理に1ヶ月やる。その代わり修理後1ヶ月以内に不具合が発生したら、無償で新品と交換せよ、との念書を取った。

案の定、4回目の故障は修理後1ヶ月以内に発生した。ファイル操作するたびに、ひとつづつファイルが破損していく。

FAT(ファイルアロケーションテーブル)関連のハードウェアの破損らしい。当然、約束どうり新品に交換していただいた。

このような不具合が連続したのは、恐らく不完全な点検をもとに、基板単位で他の修理で戻った基板を使いまわししていたものと推察される。ユーザーの方が使用時間が長いのだ。狙いを定めた系統的点検をやらない限り、間欠性の不具合の循環となる。

最近、新聞で点検ミスの報道が続いている。点検ミスは点検項目の意味、不具合の出すメーセージに真摯に対処できなかったサービスエンジニアだけではなく組織の問題にもなりつつある。

単なるチェンジニアリングを行っている限り、機器のリスクは減らないと考える。

その前兆をアナログエンジニアは15年前に経験しているのだ。

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2007年6月20日 (水)

仮想短絡 2

オペアンプの仮想短絡の概念は、オペアンプ回路の機能を効率よく理解するための概念である。

前にも書いたが、仮想短絡はオペアンプにオフセットが無視でき、十分な負帰還が安定にかかっているときにのみ成立する。

成立しないときにはどうなるか?

オペアンプ回路を仮想短絡の一本やりで解くのが高級アマチュア、それ以外の仮定の成立しない条件でも実用回路に仕立て上げるのがプロ。

仮想短絡が成立しない場合にはいくつかのケースがある。

オフセット電圧やバイアス電流が信号と相対的に大きい場合には、DC的に考えて答えが出る。

汎用オペアンプの利得帯域幅積は約1MHzなので、利得100で使用して10kHzで利得帯域積は1MHzとなる。このような条件では汎用オペアンプにとっては高周波であり、有限利得の影響がかなりである。1mVの正弦波を入力すると数100μVの電圧が±入力端子間に現れる。これがひとつの制約である。

汎用オペアンプは、実利得1でも安定性を保つようにふつう一次遅れ特性を持たせているが、内部回路の関係で大振幅出力の時には、電圧の時間変化率:スリューレートに限界がある。フルスイングするなら10KHz程度から振幅が減少する。このようなときには、オペアンプの±入力端子間には三角波が現れる。オペアンプの仮想短絡の概念はあくまでも無限大利得で負帰還制御が安定にかかっている場合のみ成立する。

オペアンプの選択をするひとつの要因として、仮想短絡が成立しない場合の検討が必要になる。

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2007年6月19日 (火)

整流回路1

電子回路ではふつうダイオードとコンデンサで整流平滑回路を構成する。

とくに小容量で無い限り、全波整流を行いコンデンサで平滑する。

多くの整流平滑回路として示される図はAC電源とダイオードとコンデンサ、そして親切であれば負荷抵抗が記載してある。この状態では、電源の起動時に、突入電流と呼ばれる充電電流が流れる。この値は数100Wクラスのトランス絶縁あるいはSW電源などの商用電源直接整流を行う回路では数10Aを簡単に越える。

コンデンサ入力整流平滑回路は、理想的に考えると電源投入時に無限大の電流が流れる。こんな回路は実用的には存在し得ない。例えば、電源直接整流のSW電源では、ふつう電源投入時には数オームの抵抗を挿入し、最初の突入電流が落ち着いた時点で、その抵抗をサイリスタ、あるいはトライアックで短絡する方式が取られる。

もっとも、最近は高調波と力率改善のための回路を備えている例も多いので、この型にならない電源も多くある。

コンデンサ入力平滑回路では、電源の内部抵抗やダイオードの抵抗を回路図には無くとも意識する必要があるのだ。そして、これらの明示されない寄生抵抗を考慮すると、整流出力は√2倍にはならず、その値はもっと小さくなる。

この内部抵抗を考慮した整流平滑回路の計算は、単純計算では解けない。設計図表は古くから知られているが、現在は寄生抵抗を考慮した回路シミュレータで計算するのが効率的である。

コンデンサ入力整流・平滑回路の問題点は起動時にある。しかし、チョークコイルを用いた回路に比べ過渡特性や電源OFF時の対策が容易なので、電子回路では今も多く使われる。

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2007年6月18日 (月)

新著

_1758 いよいよでます。

私の6冊目の単独著書。

著者への寄贈本なので、まだ検索にはかからないと思っている。今週半ば以降から順次インターネットなどに出ると思います。

書名:これならわかる「アナログ電子回路基礎技術」、日刊工業新聞社

(2600¥+税)

「これならわかる」の形容詞は編集者の発案。

はじめて読むアナログ電子回路教本としての体裁はとっていないし、網羅的ハンドブック的でもない。

定性的理解・解析手法、そして実際に執筆しながら試作・実験、回路の見所と実験手法および回路シミュレータの解析結果を1章づつにまとめた本である。

設計者の一人として、基礎的回路をもう一度見直してみた。

網羅的ではなく、一つ一つの回路のきちんとした設計の流れと検証の技法を述べた。この種の類書はほとんど無い。

非常に手間がかかるとともに、著者の力量も丸裸となるからだ。ただし、初めて読むべき本ではない。それで「これならわかる」の形容詞。

そんな回路本があってもよいのではないかと考えて、自宅に安物の計測器等を退職前からそろえて準備した。執筆しながら実験、また執筆。

設計とは、実に個別の問題に対応するセンスである。百科事典的に回路例を並べてもセンス向上は期待できない。

ひとつひとつの回路をきちんと理解することが肝要だと思う。しかし、製品回路では完全に再現可能な回路情報やその設計思想を公開できる状況にはない。多くの回路本は、一部の情報を意図的に欠落させざるを得ない。基礎回路ならそれができる。

なぜこの回路定数と部品を選んで、性能はどうなるのか?その問いに答える本にしたつもりのアナログエンジニアである。

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2007年6月15日 (金)

6冊目の回路教本

5冊目を書いたときは、本を書くのは、書けるのはこれで終わりかな と思った。

しかし、退職後すぐに6冊目の準備に取り掛かった。使用機材は自宅のオシロスコープ、デジタルマルチメータ、テスタとファンクションジェネレータで、総てロースペックの物ばかりである。

全15章、前半の4章はR,C,Lとオシロ、テスタの使い方、最終章は回路シミュレータとし、残る10章は1回路1章形式とした。

基本的回路(トランジスタ1-3個、あるいはOPアンプ1-2個)を部品選定、定数設計、試作、設計値を自分流の手順の流れとおり記述した。それぞれの章の回路は、異なる課題を含んでいる。

なぜ、このような体裁にしたか。基本的回路を熟知していないと大規模アナログ回路は作れない。そして部品の種類と定数を決定する過程を見せた書物がほとんど無いからである。それで1回路1章。それぞれの回路で扱う課題は、1章1テーマで各章ごとに異なっている。実際に自分で試作実験しながら記述した。

会社を離れた今、基本的な回路なら設計過程を詳細に公表しても問題は無い。前提とする知識は、オームの法則、キルヒホッフの法則、疎な連立方程式を文字係数のまま解け高校レベルの微積分である。

大学の先生方には、基本回路を実際に設計製作解析を経験していない方も少なくない。学ぶ回路から創る回路へ。その道が工学の心である。これなしには工学は面白くない。

あと、数日で著者献本が届くはずである。表紙のデザインと帯の詳細はまだわからない。

本の名前は「アナログ電子回路基礎技術」、これに形容詞がつく。

熟知しているはずの基礎回路でも、試作している過程では様々な出来事があった。思いとおりに動作しない回路を調べていたら夜が白んできたこともある。

大学で電子回路実験を指導する方や、ある程度アマとしての知識がありキット製作で飽き足らない回路設計者を対象読者としている。

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2007年6月14日 (木)

マイクロパワー回路

汎用の個別部品を使って組むアナログ電子回路で低消費電力化を図る。これが消費電流数10μA以下で動作させるマイクロパワー回路の正体である。

回路電圧は数V以下で、当然、周辺回路の抵抗値は性能の許す範囲で高抵抗を用いる。ICもそれ相応の物をつかう。

半導体のスケーリング則を考慮したよりも少ない電流で回路を動作させるので、マイクロパワーOPアンプは高速性は望めない。トランジスタの使用条件もデーター資料に記載されているよりもかなり低い電圧電流条件である。

バイポーラトランジスタを使用した回路では、VBE+飽和電圧+αの電圧がないと回路を組むことが出来ない。

センサとのインターフェースが多いアナログ回路では、センサインピーダンス一定のまま低電圧化を行うと信号レベルも比例的に低下する。多くの実用センサでは、その時代時代の加工技術の許す大きな寸法比を用いているので、信号レベルの低下、すなわち外来ノイズに対する許容値が厳しくなるとともにS/N比の低下が生じる。

集積化する際のプロセスを低電力化に特化すれば、ある程度の条件緩和が可能と考えているが、集積回路寸法を小形化すれば高抵抗はより創りにくく、半導体の寸法縮小によりDC特性は得にくい方向である。能動素子の微細化に伴う静電耐力の問題も残る。

最近、いくつかの学会誌で無線を用いた「センサ ネットワーク」の記事を目にしている。しかし、センサ/計測の本質的問題(と考える)S/N比やアナログ回路、電力供給の問題を扱っているケースはあまり多くない。

センサネットワークの議論は通信技術に指向しがちであるが、物理世界の宿命を背負ったセンサエレクトロニクスの世界にも目を向けていただきたいものだ。センサシステムがユビキタス時代になれば、新しい世界が広がることは確かである。しかし、大電力を使用して、例えば電磁場を時系列的に変動させて計測するセンサシステムも数多くある。そのような中でセンサネットワークシステムが実用になるには、電源の問題とセンシングのために必要となるエネルギー、耐環境性などの問題を直視する必要があると考えるアナログエンジニアである。

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2007年6月13日 (水)

大電力リニアアンプ

アナログ電子回路といえども、ピーク出力20kWのオーディオアンプと等価な回路を作ることもあったのだ。

20Wではなくて出力20kWですよ。しかも、電源は単相100VAC。

20年前だから、少しは話題にできる。

回路形式の基本形はリバースエンジニアリングで獲得した。国内特許は出ていなかったので、その基本形は踏襲した。

回路形式を言葉で表現すると、D級プッシュプルアンプでユニット並列、Ch並列を行っている。負荷がインダクタンス性なので、非常に高いピーク出力が必要だった。

この電力でキャリア周波数は200kHzを越える。当時のパワーFETでの限界に近いキャリア周波数である。40A、150Vが1チャネルの出力である。

スイッチング速度は20ns程度。電圧・電流の変化率は1000V/μs、1000A/μsを越える。これを個別部品で構成したのだ。一般にキャリア周波数は出力電力に反比例して低下する。この数値は当時のトレンド直線を1桁越える領域である。

当時のスーパーコンピュータのECLロジック回路にある意味で匹敵する電圧・電流変化速度である。

パワーエレクトロニクスを電子回路感覚で実現した。

オリジナルの部品実装を施した。

これだけの電力を扱うとなると、基盤配置に依存して電磁誘導を受ける。バラックセットでの制御回路(±15V系)などの波形は観測できない。しかも制御ループが複雑で少しでもミスがあると100部品近くが損傷するのである。その回路の立ち上げには数ヶ月の苦闘があった。

回路規模がアナログとしては大きく大電力と、通常回路が混在しているので連鎖故障が怖い。

そこで、回路のリセットシステムをユニットを外さねば、再起動できないように筐体を構成した。今でも、この方針は間違っていないと考えている。理由は別として、この回路システムは億単位の装置に実用され、今は寿命を終えているはずである。

設計者にとって、サービスエンジニアから信頼性の高い回路との評価を受けることは真の心が実証されたことになると考える。システム取りまとめ者にとっては動いて当たり前の単なる1ユニットに過ぎないが、アナログエンジニアにとって良心的に未知の領域にチャレンジし、自分の力量を超えなかった製品であると考えている。

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本日の午前のアーチェリー、50m36射=235点、30m=295点。汗びっしょりになった。6射に1射ほどのミスショットの影響がおおきい。30mでは照準器の見え方に違和感あり自信の無い射であった。50m、30mあわせて550点がコンスタントに出るといいのだが・・・。もう少し安定・自信のある射ができないとこの数値はコンスタントに出ないだろう。

2007年6月12日 (火)

苦瓜

定年退職し、技術士事務所を開設して半年経過した。

自宅の書斎と居間を仕事場にしているので、妻より自宅にいる時間が長い。今日は妻が遅く帰る予定。冷蔵庫を見ると苦瓜が1本。豚肉少々。

苦瓜料理と来れば、私はゴーヤチャンプルーしか思いつけない。味付けは「素」を使えば何とかなる。「素」の説明書をみて足りない素材を近くのスーパーで買い足し。妻の帰宅時刻にあわせて調理開始。

豆腐は崩れたが、何とか様になった。帰宅した妻は、夕飯が出来ているのでとても喜んでくれた。出来映えをほめてくれた。ただし、出来た分量は3-4人前。

私は大匙2杯といわれても、大匙1杯の分量感覚がない。大匙が約15ccと聞いていたので、目分量で入れた。

会社生活時代には、妻に日常の家事、家計管理を任せ切りにしていたので、当初は何も出来なかった。ATMを使っての送金も行員さんに教えてもらいながら、何度目かに自立。ゴミだしのルールもようやく身についた。

いままでは、自分が先に逝くという前提で生活していたが、いまも働いている妻にのみ負担を掛けるわけに行かない。

それにしても、ある程度、料理レパートリーを持たないと、2人分の料理だと、連続技を繰り出さないと材料のローテーションがうまくいかない。まずは日常知識の拡張をし、応用動作ができるようになりたいものだ。日常知識は工学ほど深い必要はないが、段取りがうまくないと膨大な時間がかかるとともにロスも多い。

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2007年6月11日 (月)

1回路1章

基本的な(教科書的な)電子回路でも、きちんと、その解析方法・設計法、その回路のもつ課題と計測方法を解説すれば、10数ページになる。

電圧利得が-1の反転増幅器を汎用OPアンプを用いて構成すると、ベテランなら2本の抵抗はふつう10kΩになる。

この値はオフセット電圧、バイアス電流の影響を考慮し、汎用OPアンプの電圧および電流駆動能力を考慮した最適値に近い。

OPアンプ2-3個の回路になると、もっと詳しい説明が必要になる。それも、その回路特有の課題と癖を記述するだけで、1回路1章の分量になる。

トランジスタになると、データシートを読むに必要な知識を網羅すれば1冊の単行本でもかなりはしょった記述になる。

多くの大学では、アナログ・デジタル回路含めて1コマ、1学期の講義ですっ飛ばす。解る方が不思議なくらいのスピードである。当然、回路の面白みを伝えるところまで行かない。

さらに、実用的なアナログ回路は学術論文ネタになりにくい。その結果、大学でアナログ回路をきちんと教えられる方もどんどん減少している。

優秀なアナログ集積回路部品は、欧米品が多い。そして、優秀なアナログエンジニアは貴重な人材として扱われている。日本ではどうか?

現実世界とデジタルの世界を結ぶ架け橋であるアナログ回路技術をブラックボックス化してはならないと考える。

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2007年6月 8日 (金)

有効数字

工学においては多くの場合、得られた数値は計測値である。デジタル表示された測定器の読み取り値が正しいとは限らない。

意味のある計測数値が有効数字である。2と2.0と2.00などは異なる意味を持つ。

長さであれば、物差しを使って測ればせいぜい30cmを測定して0.1-0.2mmまでが有効数字である。しかし、今は筆算で計算することはほとんど無いので、その後、電卓で計算して10桁の数値が出てくる。

長さの計測では、多くの金属材料が10^-5レベルの線膨張係数を持つので、測定温度を明記しなければ、有効数字4桁の値は意味が無い。プラスチックならもう一桁大きい温度影響を受ける。

電子回路でよく使うのはテスターであるが、もっとも測定精度の高いDC電圧レンジでも、ふつう1-2%くらいの誤差〔不確かさ)がある。電子回路の電圧測定でも、測定器の負荷効果も無視できない。100kΩの両端電圧を測定するなら、デジタルテスターで-1%程度、アナログテスタ-では使用する電圧レンジによって異なり、数%になる場合もある。

測定における有効数字の感覚なしに、定量的科学はありえないと考えるアナログエンジニアである。

測定対象そのものが過去の履歴の影響を受けたり、時間的に変動する場合もある。

ときには、桁が測定できないことすらありえるのだ。測定対象の値が10^nから10^mなどという測定もある。

測るということは、常に測定誤差および誤差の波及について考える必要がある。

測定器の表示値を盲信し、さらに演算過程で有効数字をはるかに越える計算値をだす学生も少なくない。計測に関する基礎訓練が身についていないケースが多くなっているような気がする。

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2007年6月 6日 (水)

バイアス電流

汎用オペアンプで、回路に使用する抵抗値の上限を制約する仕様である。

汎用オペアンプの入力段はトランジスタが使われているので、オペアンプの+、-入力端子にはnpn初段であればそのベース電流である0.1μA程度の電流が流れ込む。

汎用オペアンプのバイアス電流を測定するには、オペアンプで電圧フォロワ(オペアンプの-入力端子と出力端子を直結)を組み、+入力端子とGNDの間に1MΩ程度の抵抗を挿入する。

そして、抵抗を短絡したときの電圧と短絡しないときの出力電圧の差を読み取る。

この値は100mV程度のオーダーであるので、デジタルテスタで容易に観測できる。

電流の向きも含めて、オームの法則によりオペアンプのバイアス電流を実測できる。

pnp初段のオペアンプなら、電流の向きは逆符号となる。

必要に応じて、利得100あるいは1000くらいの電圧利得を持たせた回路を使う場合がある。

計測は多くの場合、結果から原因をもとめることが多い。実回路で、適当な場所に抵抗が存在していれば、電圧測定だけで電流を知ることができる。時には蓑虫クリップで抵抗の短絡状態と、既知の抵抗が入った情報が得られれば、オペアンプの静特性を垣間見ることができる。

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2007年6月 5日 (火)

オームの法則 1

オームの法則:電圧(V)=抵抗(R)×電流(I) の式を定性的には小学生から習っている。

多くの例題は、定性的には乾電池と豆電球の直列・並列接続で評価基準は豆電球の光具合である。

しかし、現在の乾電池でも新品の状態から例えば1Aを数秒流しただけで、電池電圧は0.1Vをはるかに越える電圧低下を起こす。そして、指数関数的に起電力は回復してくるが、新品の状態にまでは半日経過しても戻らない。

オームは100数10年前、多分ボルタの電池、現在の電池よりはるかに電流依存性の高いそして過去の履歴を持つ電圧源しかなかった時代に、この式を確立している。しかも水銀抵抗を用いての実験である。金属抵抗は長さ(L)と断面積(S)をかなり高抵抗になるようにセットしてもkΩ台のRを得ることは困難であったと推察される。

当時は電流の測定技術と温度測定技術は確立されていた時代である。電流Iが測定できて、VもRも測定手段が確立されていなかった。

オームは電圧源に熱電対の起電力を用いたとのことである。(オーム社、「新電気」5月号)

これなら太目の熱電対導線を使用して、厳密な温度管理を行えば、電圧Vを定量化できる。実験条件は現在の技術知識をもってしても、相当条件を選ばなければ出来ないと思う。抵抗率ρのイメージなくして、電圧のイメージなくして実験条件を私は選べないだろう。

現在では、たかがオームの法則として、電気・電子分野では自明の式として扱われている。しかし、工業高校レベルの方で、I=V/Rの式に変形して、電流計測を行える人は半数にも満たない。

Rが未知数であれば、簡単にはIを一定、既知としてVを計測すればよい。

Iが未知数であれば、Vを測定し、計算でI=V/Rを求めればよい。しかし、既知の抵抗で、回路に影響を与えない程度の抵抗を挿入して電流計測するトレーニングはあまり行われていないようだ。

測定のために回路を切断し既知抵抗を挿入することは、それなりの技量を要する。勇気も必要だ。

V=RI 様々な逆問題が存在する。何が今判明していて、何が今わからないか?関係する機知の物理法則は何か?その理解なくして、技術をこなせないと考えるアナログエンジニアである。

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2007年6月 4日 (月)

非常用ラジオ受信機

_1757 ←手回し発電機付きの非常用AM、FM受信機

このラジオ、いつ購入したか忘れた。低速発電機に関心を持っていた頃のはずだから、10年近く前か?

現在の日本は情報を得るには電気が欠かせない。電波を利用するからだ。このラジオを実戦で使うときには、我が家を捨てて避難するときである。

それでも、玄関のフックに掛けてある。

このラジオは一応防水仕様になっている。今日はその機能のチェックを行った。

使い捨て単三の電池電圧は1.56V、ボタン電池も生きている。電池を外して手回し発電機での受信もOK。非常灯機能も動作する。時計機能も10分ほどずれているが問題ない。

手回し発電の外国電波を受信できるラジオが閉鎖国家に普及したらどうなるだろうか。遊牧民も独裁国家も様々な影響を受けるだろう。

その一方で、わが国ではユビキタスが進行している。

私の専門であるセンサエレクトロニクスの世界でも、センサのネットワーク化の研究が進められている。情報の氾濫がある一方、情報管制が行われている社会もある。

会社生活を終えて、改めて技術世界の力学を考えているアナログエンジニアである。

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2007年6月 1日 (金)

ジュール積分

_1751 ヒューズを大電流で切るとき、概略(電流)の2乗×時間=一定のラインで切れる。

周囲への放熱が寄与する比較的長い時間をかけてヒューズを切断するときには、ヒューズは定格電流よりすこし大きい電流で切断する。

この式に抵抗Rを掛けると、電力一定のラインでヒューズがとぶ事になる。これがジュール積分である。

外部への放熱が無視できる状態で、電力一定のラインで溶断することは、ヒューズ材料が100%の効率で常温から溶融点まで加熱されるものと推察される。

定電流パルスで切断実験(破壊試験)を行うと、このカーブを取得できる。ヒューズメーカからはこの特性表が入手できる。

この〔電流)の2乗×時間=一定のラインをサブmsまで実測するには、それなりの道具立てとサンプル数が必要なので、このカーブを実際に取得した経験を持つ回路技術者は多くはいないだろう。

メカニズムは異なると考えられるが、(電流)の2乗×時間=一定のラインで破壊する電子部品は他にも存在する。

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