大電力リニアアンプ
アナログ電子回路といえども、ピーク出力20kWのオーディオアンプと等価な回路を作ることもあったのだ。
20Wではなくて出力20kWですよ。しかも、電源は単相100VAC。
20年前だから、少しは話題にできる。
回路形式の基本形はリバースエンジニアリングで獲得した。国内特許は出ていなかったので、その基本形は踏襲した。
回路形式を言葉で表現すると、D級プッシュプルアンプでユニット並列、Ch並列を行っている。負荷がインダクタンス性なので、非常に高いピーク出力が必要だった。
この電力でキャリア周波数は200kHzを越える。当時のパワーFETでの限界に近いキャリア周波数である。40A、150Vが1チャネルの出力である。
スイッチング速度は20ns程度。電圧・電流の変化率は1000V/μs、1000A/μsを越える。これを個別部品で構成したのだ。一般にキャリア周波数は出力電力に反比例して低下する。この数値は当時のトレンド直線を1桁越える領域である。
当時のスーパーコンピュータのECLロジック回路にある意味で匹敵する電圧・電流変化速度である。
パワーエレクトロニクスを電子回路感覚で実現した。
オリジナルの部品実装を施した。
これだけの電力を扱うとなると、基盤配置に依存して電磁誘導を受ける。バラックセットでの制御回路(±15V系)などの波形は観測できない。しかも制御ループが複雑で少しでもミスがあると100部品近くが損傷するのである。その回路の立ち上げには数ヶ月の苦闘があった。
回路規模がアナログとしては大きく大電力と、通常回路が混在しているので連鎖故障が怖い。
そこで、回路のリセットシステムをユニットを外さねば、再起動できないように筐体を構成した。今でも、この方針は間違っていないと考えている。理由は別として、この回路システムは億単位の装置に実用され、今は寿命を終えているはずである。
設計者にとって、サービスエンジニアから信頼性の高い回路との評価を受けることは真の心が実証されたことになると考える。システム取りまとめ者にとっては動いて当たり前の単なる1ユニットに過ぎないが、アナログエンジニアにとって良心的に未知の領域にチャレンジし、自分の力量を超えなかった製品であると考えている。
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本日の午前のアーチェリー、50m36射=235点、30m=295点。汗びっしょりになった。6射に1射ほどのミスショットの影響がおおきい。30mでは照準器の見え方に違和感あり自信の無い射であった。50m、30mあわせて550点がコンスタントに出るといいのだが・・・。もう少し安定・自信のある射ができないとこの数値はコンスタントに出ないだろう。
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