地球ゴマ
町の神社の夜店で買った地球ゴマ。枠の中でコマが回る。最近はあまり見かけない。
このコマ、軸を傾けようとすると強い反力を受ける。小さなコマなのに軸の方向を変えることに対して強烈に抵抗する。コマのサイズに比べて、すごい抵抗力を示す。
夜店でのデモは、地球ゴマが細い糸を綱渡りする。放り投げても姿勢は変わらない。
航空機や潜水艦の慣性航法に使われるジャイロと同じ原理である。外部との通信なくロケーションをする一方法である。その性能に関しては、漏れ聞く情報は多くない。回転を維持する駆動法やピボットの摩擦の最小化などの課題があるだろうが、最高の技術、工夫を用いて実現されていることだろう。
最近のセンサではコリオリ力を用いた、角速度検出形のセンサも多くコンシューマユースには使われていると聞く。デジタルカメラのぶれ防止は画像処理だけで行われているわけではない。超小形化された角速度センサの情報を受けて、信号処理が行われているのだ。
一般ユーザーはそれを意識することは無い。ベテランで無い限り銀塩一眼レフカメラで3脚を使わないで300mmの望遠レンズを使うことは無謀に近い。現在のデジタルカメラはそれを補ってくれる。センサ技術を意識することなく、使うことが出来る。
現在の工学技術は技術を意識させない製品を多く生み出している。一般ユーザーはそれを意識する必要もない。しかし、それを支えているのは、基礎技術に立脚した理系人間である。
理系離れが進む中、基礎をおろそかにしない集団の存在が重要だと考えるアナログエンジニアであるが、しかしITの影に隠れてその存在感は希薄である。ITは何を生み出すのか?
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コメント
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子どもの頃,友だちの地球ゴマがうらやましかったのを思い出しました.近ごろ見かけません.ジンバルで支えられた弾み車が回ってるだけの簡単なものだったように思いますが…
なるほどピボットなど高度な技術が要るわけですね.
コリオリの力といえば台風や砲弾が影響を受けるのは知っていても,手に乗るほどの装置の中で検知できるとは,驚愕です.
原理を知らずに使える便利なものが多くなりましたが,何となく原理を知りたい欲求がやみません.
投稿: 三ねんせい | 2007年8月10日 (金) 18時34分
テレビに出てくるM社の自転車ロボットにもつかわれています。10年前で数cmくらい(回路込)です。
原理は、例えば
http://www.spp.co.jp/sssj/isindou.html
に記載されています。キーワードは振動ジャイロです。
投稿: 5513 | 2007年8月12日 (日) 06時04分