塾の先生
進学高校の授業のペースは速く、レベルは高いのが普通だ。
高校に進学して、2ヶ月も経過しない間に英語力の差が歴然とする。田舎町の中学と地方都市の中学の学力差を思い知る。父が伝を頼って、英語塾。
先生は、某高校教師、津田塾出身、独身の方だ。初めての塾に出かける。英文和訳はもちろん、私は発音にも問題があった。この塾はAチームとBチームがあって、私は当然、下位のBチームだ。英文音読が始まり。数人のメンバーから笑いが漏れる。英文和訳も怪しい。しかし、暖かい雰囲気の塾。
単語力・語彙力不足を痛感。高校1年の夏まですべての時間を語彙力増強に投入。テレビは当然見ない。英文和訳能力は短期間に上昇した。Aチームへ昇格。
高校3年。この頃には皆が初読の英文をいきなり和訳するのだ。直訳ではない、こなれた日本語に変換する。うまく出来たときにはお褒めの言葉を戴ける。アガサクリスティのミステリーや、ラフカディオハーンの原書もこの頃読んだ。
これが、私の英語の原点。この習慣は大学時代にも引き継がれた。社会科学もSFも辞書無しで読める語彙力3.5万はクリアしていたと思う。大学時代に読んだ思い出の本は「the sane society」、著者はErich Fromm。この本は今の私の書棚にある。
次の高校時代の課題は、数学。塾の先生は、理科大物理出身。現役高校の数学の先生。
この方に、自己訓練とはどういうことか学んだ。6題程度の大学入試問題が6:00pmに出題される。8時ころ、酒臭い先生が出てきてワンポイントアドバイス。後は終電車まで頑張るのみだ。運がよければ、全問正解で早く帰れる。出来なければ次の週までの宿題である。対数操作にはてこずった。
この先生、高校3年から習う高校物理を2年はじめから独力で学べという。教材は金原寿郎先生の「物理の研究」、演習問題は日比谷高校の先生の問題だ。すべての問題を解いた。電磁気学には苦労した。高校数学のすべてを使えば、物理は暗記科目ではない。基本中の基本公式から組み立てれば自由に必要な式を短時間で生成できる。その過程は原理を応用する際の、手順そのものである。感謝。感謝。残念ながら、この先生、早逝された。
この数学塾、後の弁護士、新聞社の論説委員、政治家などを生み出した伝説の塾である。
進学高校の落ちこぼれ生徒を救ってくれたのは、手法の異なる教え方をする2つの塾であった。少人数ならきめ細かい本人の力量に合ったメニューを用意することが出来る。相手は少数だが、徹底した訓練が出来る。それが現役教師であった私の塾の先生のポリシーでったのかも知れない。
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コメント
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うわー!\(^o^)/
司馬遼太郎先生の「花神」で描かれていた
緒方洪庵先生の「適塾」のようですね。\(^o^)/
それにしても今回の記事を読ませて頂いて
自分がいかに怠けてしまったのかと
大きなショックを受けました。○| ̄|_
「20代までの勉強(量)が大事ですよ!」という
小林秀雄先生の言葉は本当ですよね!
気付くのが遅すぎましたわい。(T_T)
--------------
お恥ずかしながら、
エーリッヒ・フロム先生とパウル・ティリッヒ先生の
ことも今日初めて知りました!
ご教示ありがとうござました!
投稿: Kimball | 2007年9月10日 (月) 22時19分
Kimballさま
若い時代の訓練はとても重要だと考えています。知っていることよりも、その知識を活用できるまで自己訓練することが工学にとって大切と思います。
テレビ・ゲーム機などの普及により、若い世代の方の演習時間が減っているような気がします。アジア他国の若い方たちの多くは、平均的日本人より知識欲、勉強意欲が高いので、日本の技術優位性が将来に亘って維持できるか、と疑問に思っています。
投稿: 5513 | 2007年9月11日 (火) 06時20分