ラダー抵抗回路
←紫式部の実。庭の隅にたくさんなっている。いつ花が咲いていたのかわからない。
ふつう抵抗比1:2のR-2Rの回路がD-A変換器に良く使われている。この回路を使用すると1:2^n乗の分圧比をnビット精度で制御可能だ。
このD-A変換器を逐次2分法で帰還をかけて、A-D変換器に仕立て上げたのが多くの逐次比較形A-Dコンバータだ。
nビットを確定させるには、変換時間の間入力信号が不変であることを前提として、n回の比較動作を伴う。従って、12bitなら、アナログ系のレスポンスの12倍の時間を必要とする。
この回路方式:抵抗比精度は1/2^nよりやや低い値が必要である。電流/電圧SWにもそれなりの性能を求められる。しかし、本質的にはラダー抵抗回路の抵抗比は1:2に限定する必要がない。1:mの分圧回路を期間回路に利用すれば、非常に広い範囲でアナログ増幅器の利得を変える技術になる。計算は少し面倒になるが実用性はある。
ラダー抵抗回路を計算するには、LSB側から順次求めていく方法が効率的だ。基準電圧に近い側から計算しようとすると・・・・私には出来ない。
たかが複数の抵抗回路ネットワークであるが、抵抗精度とSWの誤差を考慮した解析は意外に難しい。1bit精度が異なると幾何級数的に値段が変わるアナログとデジタルの接点である。
キー技術は抵抗比精度とアナログSWの性能そのレスポンスである。D-A/A-D変換器は非常に市場規模が大きいので、さまざまなデバイスが市販されている。市場規模が大きければ、その技術は早く発達しコストパフォーマンスが改善される。そして寡占化が進む。
個別部品で組むアナログ回路は、ICで達成できない厳しい設計仕様を実現する宿命にあると思う。しかし、この状態、新米エンジニアが実践レベルに到達するには、いきなり高いハードルを越えることを求めるに等しい。厳しい状態である。
私は絶滅危惧種になりつつアナログエンジニアに属する。絶滅危惧種になりかねない技術分野は他にも数多くある。
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