起動回路
基準電圧ダイオードDZの低温度係数を確保するには,指定された電流で駆動する必要がある。
この回路は基準電圧DZをn倍化するとともに,基準電圧より高い安定な出力電圧を利用して,RSにより一定電流をDZに流す。これが表の論理である。
起動時にはDZの電圧は,その漏れ電流があるので,OPアンプの入力は0,したがって出力,およびRSを流れる電流も0となるので,いつまで経っても出力が立ち上がらない。これが裏の論理である。
期待する出力と0出力もともに安定な状態である。
これを回避する手段が,破線部で囲んだ起動回路である。点aの電圧を正常なDZ電圧より低く設定しておくと,起動時にはOPアンプの出力をDZより高く設定できる。この結果,RSに電流が流れ,DZ電圧は所定の電圧まで立ち上がる。
点aの電圧は正常なDZ電圧より低くしてあるので,起動が完了すれば破線部の回路はダイオードDにより切り離される。
起動回路が記載されていないこの回路形式を教科書で見たことがある。動作に必須の回路要素が記載されていない場合は珍しいことではない。しかし,回路動作に必須の要素が欠落している図は,理解の妨げになると考えるアナログエンジニアである。
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