コメット機
コメット機は1949年就航。金属疲労破壊の有名な事例で,この公開文献に詳細が図入りで紹介されてる。
ジェット旅客機の空中分解事故として,よく知られている事例である。原因は低サイクル疲労破壊であるが,金属材料の切り欠き効果による応力集中も加担しているとされる。
高速増殖炉文殊では温度測定用のセンサである熱電対の鞘管の疲労破壊とその後の人的対応のまずさから被害を拡大した。この場合はカルマン渦による鞘管の周期的な応力と,鞘管の不連続断面形状が災いしたとの説が有力である。高速増殖炉は冷却材に金属ナトリウムを使用することにより,適度な速度で中性子を炉の周辺に配置した核反応に寄与しないウラニウムを核分裂性プルトニウムに変換できる。消費した燃料より多くの核燃料を生産できる次世代の原子炉である。
脱線したが,金属疲労の問題は一般者にとっても,たとえば遊園地のコースターの破損などで身近な話題となっている。
機械工学者にとっては,極めて切実な問題であり実用上の機器の寿命を決める。この予測を誤ると深刻な影響が各所に生じる。建築構造物の強度偽装問題など論外であるが,恣意的な設計不良はチェックされるべきであると思う。
金属構造物の破壊は物理的過去の履歴の影響も受ける。加工硬化などの要因もある。金属は化学的要因も受けて損傷する。よくある例では,真鍮の応力腐食割れなどもある。
アナログエンジニアは,機械工学に手をだす気持ちはさらさらないが,それでも物理化学現象の基本を知らない工学者の設計の危険性を感じる。いまの大学教育で何が欠けているか今一度考えてみる必要があるだろう。
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