マルチバイブレータ2
2石無安定マルチバイブレータの電源電圧は5Vで設計されることが多い。5Vはデジタル回路の標準電圧のひとつでもあるが,別の制約からも妥当なのだ。
2石無安定マルチバイブレータのベース・エミッタ間には,オフ期間の最初にほぼ電源電圧に等しい逆電圧が掛かる。したがって,ベース・エミッタ耐圧は電源電圧と同じだけ必要になる。
最近のnpnトランジスタのベース・エミッタ間耐圧は10V以下の物が多い。このため電源電圧9Vという選択肢は少ない。これが2石無安定マルチバイブレータの電源電圧が5Vである理由だと思う。
発振周期は回路が対称なら,ベース抵抗RBとタイミングコンデンサCの積×0.69×2と記載されることが多い。この値はは,-VCCを初期値として,+VCCのステップ電圧を入力したときにベース電圧が0Vになるまでの時間である。
実際には,コンデンサの電圧は(-VCC+VBE)を初期値として+VBEに達する時刻であるが,上記と大差はない計算結果が得られる。
ベース抵抗とコレクタ抵抗の比は設計上10~50倍程度になるので,コレクタ電圧は瞬時には上昇できない。時定数RC×Cの時定数で上昇していく。完全な方形波ではなく,コレクタ電圧波形は前縁が丸みを帯びる。
良く知られた回路であるが,細かく検討しようとすると様々な課題に出会う。
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