hパラメータ hoe
トランジスタを4端子のブラックボックスと見立てたとき,入力電圧V1,入力電流I1と,出力電圧V2,出力電流V2の関係を下式のように表したときの係数がhパラメータである。
V1=h11I1+h12V2
I2=h21I1+h22V2
エミッタ接地増幅器では,h22は出力アドミタンスと呼ばれ,h22=ΔI2/ΔV2=ΔIc/ΔVCEであり,hoeとよばれる。
hoeはVCE-IC曲線の傾きの逆数でかなり小さい値をもつ。
この傾きは,コレクタ電流依存性をもち,異なるコレクタ電流で取得したVCE-IC曲線群を左側に延長するとほぼ負の1点で交わる。これがアーリー電圧VAである。したがって,hoeはコレクタ電流に比例する。少なくともICの関数になっている。
アーリー効果を表現するなら
Ic=Ic0(1+Vce/VA)と表現すれば広いコレクタ電流範囲でのVCE-IC特性を表現できる。
この式を用いて,hoeを表現すると
hoe=ΔIc/ΔVCE=Ic/VA となるから簡単にhoeが求まる。
数値例を挙げれば,Ic=10mA,VA=100Vとしてhoe=10^-4[A/V]である。
アナログエンジニアはふつうhoeのハイブリッドパラメータを使って設計計算をすることは無い。hFEのコレクタ電圧依存性が影響する場合のみ,アーリー電圧を用いて精密に計算する。
hoeはコレクタ電流に直接依存するので,今ではトランジスタのデータシートに記載されることはかなり稀である。
実務における計算法とも異なる。トランジスタが主流となった今,hパラメータを,その算出方法を教授しないで大学で教える意味は少ないと考える。
『人気blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な1票をよろしくお願いします。【押す】
« エミッタ接地増幅率 | トップページ | PSRR »
「電子回路」カテゴリの記事
- 電流増幅器(2012.04.18)
- 高電圧回路(2012.04.10)
- 金属箔抵抗(2012.04.07)
- SW電源(2012.04.06)
- アナログ回路の信頼性(2012.04.05)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント