オペアンプのバイアス電流
オペアンプのバイアス電流IBとは,オペアンプの入力端子に流入する電流である。その符号はオペアンプ内部の初段の回路構成でほぼ決まる。
反転増幅器で仮想短絡が成立するなら,R1を流れる電流IはI=Vi/R1である。R2には(I-IB)が右向きに流れるのでVo=-ViR2/R1+IBR2となる。
これを整理してVo=-R2(Vi-IBR1)/R1とすれば,IBR1が入力信号と同様に増幅されることがわかる。
この項をどこまで許容するかが,R1の上限を決める。
バイアス電流は2つの入力端子で同じとは限らない。(入力バイアス電流オフセット)
同じであれば,+入力端子側にR1とR2の並列抵抗値を挿入すれば原理的には消去できる。
しかし,保証された入力バイアス電流オフセットは入力バイアス電流と同程度なので,この手段がいつも有効とは限らない。
オペアンプを理想的なものとして扱っている段階で,+入力端子とGND間に抵抗を記載しているならそれは原理回路の表示ではない。
オペアンプの非理想的な性質を考えて,はじめてオペアンプの周辺の回路定数の絶対値が決まるのである。
『人気blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な1票をアナログエンジニアによろしくお願いします。【押す】
« 定電流ダイオード | トップページ | トランジスタにB-E間抵抗 »
「電子回路」カテゴリの記事
- 電流増幅器(2012.04.18)
- 高電圧回路(2012.04.10)
- 金属箔抵抗(2012.04.07)
- SW電源(2012.04.06)
- アナログ回路の信頼性(2012.04.05)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
学生の頃、741でセンサのアンプを院生から組めと
言われ、回路を渡されましたがオフセット調整VRが
無いため、100倍のアンプ出力が電源電圧近くまで
振れるという状態になり、動作しません。
オフセット調整が必要では?と言っても聞いてもらえ
ず、入力回路は反転、非反転共に同じ抵抗だから
問題ないんだ!壊したのか?と怒られた事があった
のを思い出しました。
バイアス電流が流れるという事を忘れた設計を
する人はいますし、OPアンプを変更したは良いが
入力がPNPかNPNかでバイアス電流の方向が
違ってしまい、回路の動きが違う事がありました。
非理想的な性質はデータシートから読み取れる
のですが、最近はデータシートを読まず、先輩の
設計から拝借してしまう人も多いですね。
投稿: GPoon | 2008年1月16日 (水) 16時22分
Poonさま ようこそ。
>非理想的な・・・
どのようなタイミングで,非理想OPアンプの性質を教えるか,伝授するかいつも迷います。今の時代,OPアンプから先に教えるか,トランジスタダイオードから教えるか迷います。
出始めの741は高価で,目一杯データーシートの仕様の範囲でばらついていた記憶があります。
最近は,データーシートを読まずに類似設計をする人も多いです。同感。
昔は分厚いデーターブックを備えていましたが,今はインターネットでデーターシートが簡単に手に入るようになりました。
投稿: 5513 | 2008年1月17日 (木) 13時54分