ダイオードの容量
ダイオードに逆電圧をかけたらどうなるか。
pn接合ダイオードであれば,キャリアの存在しない空乏層を挟んで,平板コンデンサ状に電極が向かい合う形になる。したがって,かなりQの高いコンデンサとなる。
容量値は,小信号用ダイオードで数pF,整流用ダイオードで1000pF近くなる。
配線には寄生インダクタンスが存在するので,SW回路でOFF-OFFの期間があると振動する。急峻な電圧変化を与えると電流波形にスパイクが出る。
ダイオード容量の逆電圧依存性は,階段接合で電圧の平方根,傾斜接合で3乗根の電圧依存性をもつ。
この性質を積極的に利用すると,電子チューナー用のバラクタダイオードとなる。インダクタンスを経由して逆電圧を制御し,Cの値を変えて同調を取るのである。
1000pF程度の商用周波数の整流回路においてはCの値はほとんど回路動作に影響しないが,SW電源のキャリア周波数以上では,種々の波形にその影響が見られるようになる。
高速・高電圧回路においては,整流ダイオードの容量も無視できない。10kV級の小電流ダイオードはブラウン管カラーTVでよく使われるので意外に選択肢がある。案外難しいのは2000V級の高速整流である。広いマーケットをもつ応用分野が少ないためである。
電圧を問わず,ダイオードの順電流を必要十分な範囲に選ばないと,ダイオードの容量と各部のL分との共振で波形が乱れやすくなる。
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