ウィルソン形カレントミラー回路
カレントミラー回路は,I1と同じ電流をI2から吸い込む定電流回路である。
種々の回路形式があるが,今回はウィルソン形カレントミラー回路について述べる。
Q1~Q3がよく揃ったトランジスタとすると,Q2とQ3のベースは同電圧なので,IC2=IC3,したがってIB2=IB3となる。
Q1のコレクタ電流はIC2=I1-IB1,Q3のコレクタ電流IC3=I2+IB1-IB2-IB3である。ほぼIB1=IB2=IB3なので,hFEがちいさくともかなり正確にI1=I2となる。
Q3はまたベース接地回路として動作しているので,アーリー効果の影響をほとんど受けない。通常のカレントミラー回路とは格段に定電流性が良い。
ウィルソン形カレントミラー回路は良好な定電流源が必要なときに使用する。おもに,集積回路の手法であるが,個別部品回路でも使用することがある。
この回路の欠点は,I2の電圧が(VBE+飽和電圧)と少し高い電圧が必要なこと,異種サイズのトランジスタを使用しないとマルチカレントミラー回路に拡張しにくい点にある。
クイズみたいな巧妙な回路であるが,要所に使用すれば効果絶大である。
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