理想化ダイオード回路
微小電圧信号を整流するとき,ショットキバリヤダイオードを用いても順方向電圧を無視できない場合がある。
こんなときにはオペアンプを用いた理想化ダイオード回路が有効である。
図で入力が正の時には,オペアンプの出力が負となりD1が導通するので,D1が負帰還経路となり,オペアンプの―入力端子は仮想短絡,0Vとなる。
D2のアノードは,D1の順方向電圧だけ負となっており,仮想短絡電圧がR2を経由して0V出力となる。
入力が負の場合には,D1が逆方向D2が順方向になるので,反転増幅器と同じ形になる。出力電圧範囲はダイオードD2の順電圧だけ狭くなる。
0をよぎるとき,オペアンプ出力は±VJだけ不連続な変化をするが,オペアンプの開放利得が非常に大きいので入力換算ではごく小さな値となる。
この結果,正入力領域では常に0出力,負入力範囲では反転増幅器とほぼ同じ動作をする。
理想化ダイオード回路は,オペアンプを用いた精密折れ線回路の基本形である。折れ点の位置と極性,利得を変え加算器で加え合わせると,全波整流回路,不感帯回路,リミッタ回路,折れ線関数発生回路などを構成できる。
この回路の折れ点付近の微小な曲がり部分はD1,D2の特性に強く依存する。通常は小信号高速シリコンダイオードの品種を選ぶ。
折れ点非線形回路は場合分けのある単純な回路であるが,きちんと理解するには1週間ほど掛かるのではないか?
もし,D1が無ければどうなるか なども理想化ダイオード回路の性質の理解を高める課題である。
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