レベルシフト回路1
エミッタフォロワ回路は,トランジスタのエミッタ・GND間に抵抗REを挿入すると,ベース電位VIからVBEだけ下がった出力電圧がエミッタ端子から得られる。交流的にはほぼ電圧利得は+1である。
では,この回路のコレクタと電源VCCとの間にコレクタ抵抗RCを挿入するとどうなるか。
電流増幅率hFEが数十以上あれば,ほぼコレクタ電流ICとエミッタ電流IEは等しい。
したがって,コレクタ抵抗RCにはIERCの電圧降下が発生する。
エミッタ電流IEはおよそIE=(VI-VBE)/REで一定なので,トランジスタのコレクタ端子には,VCCを基準とするIE・RCの逆極性の電圧が発生する。
エミッタフォロワ回路にコレクタ抵抗を付加すると,VCC基準の信号が概略得られる。
この性質を活用すると,GND基準の信号をVCC基準の逆極性の信号に変換できる。
VCCが200Vを越えても利用できる。ただしnpnトランジスタなら最悪でもVCE>0.3V程度は確保しなければならない。
コレクタ信号は何に使うか。色々な使い方があるが,GND基準の信号で,逆極性のバイポーラトランジスタやFETを駆動することに使われることも多い。
基本となる知識はIC≒IEである。
この回路では,エミッタフォロワではあまり制約とならなかったコレクタ・ベース間容量Cobが,定数配分によっては周波数特性の上限を制約することもある。
VCC=200V近くのレベルシフトを行うと,消費電力Pdのチェックも必要である。
アナログ電子回路の性能は一番弱いところで制約される。
技術的には,長所を生かし,短所が表面かしない工夫がアナログ回路のの通常の戦略である。
一般化すると,強きを助け弱きを無視できる環境を整えるのがアナログエンジニアの戦略だろう。言い過ぎか?
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