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著作

  • 共著:「次世代センサハンドブック」培風館(2008)、「マイクロセンサ工学」技術評論社(2009.8)
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  • 単独著
    アナログ電子回路設計入門 (1994.12)、コロナ社: 実践アナログ回路設計・解析入門 (2005.1)、日刊工業: オペアンプ基礎回路再入門 (2005.7)、日刊工業: ダイオード・トランジスタ回路入門 (2005.12)、日刊工業: スイッチングコンバータ回路入門 (2006.9)、日刊工業: これならわかるアナログ電子回路基礎技術 (2007.6)

専門とする事項

  • 電源を含む精密アナログ電子回路の設計・開発、およびその教育、技術指導。センサ・アクチュエータシステムの構築。電子機器の不良解析指導および再発防止指導。解析主導型設計の推進と回路シミュレータの実践的活用指導。技術的側面からのプロジェクト管理指導。

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新刊

  • 岡山 努: アナログ電子回路の基礎と入門!これ1冊

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2008年3月

2008年3月31日 (月)

ガソリン税

今日で暫定税率の有効期限が切れる。

一度,道路財源の上乗せ分をリセットし,きちんとしたチェックがなされるべきであると考える。あの手この手で費用対効果費が1以上になれば,道路を作る。しかも,その積算根拠は計画の見直し周期である5年を待たず廃棄されている。

環境を問題にするなら,軽油のほうが炭素排出量は多いから,軽油税の方が高価にになるべきであろう。

道路財源にみられる放慢処理は目に余る。既得権益と官僚の作文は一端リセットすべきであると考えるアナログエンジニアである。

アナログ設計やソフト設計においても,このような現象はすでに起きている。

ゼロベースからの技術構築を経験したことのないエンジニアも増えている。過去の遺産に縛られて新たな設計ができていない例を多々見かける。資源・食料も自給できない日本においては,様々な分野での工夫が無ければ,現在の生活水準を維持できない。それを支える人材の育成を怠った間違った教育の影響は,今後何十年も続く。

資源・食料の自給率の低い日本においては,人の資質が国力の源泉であると思う。

私の分野であるアナログ回路の世界では,有能なアナログエンジニアの払底が取りざたされている。しかし,アナログエンジニアとして一部の人以外は会社員として生活できない場を永年続けたのは財界である。いま,アナログ教育は聞きに瀕している。古く,華やかでなく,その割りに学術ネタにならない世界では,教えることすら職業として成立しえない状況が長く続いている。

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2008年3月28日 (金)

電磁センサ

鉄と銅と絶縁物で構成できる電磁センサは,現在においても信頼性を必要とされる分野で使われている。

産業や交通に係わるセンシングに使われ,MEMSのように華やかではないが重要な部分に活用されている。

トルクセンサ,角度センサ,変位センサ,液面計測,近接センサ,流量センサ,電流センサ等々。また,基本量の測定を応用してたとえば圧力センサにも使われることがある。

電磁センサの特徴は,汚れや悪環境に耐える設計が容易である。 500℃の高温に耐えるセンサもあれば,油にまみれてもそこそこに計測できる。センシング精度も次第に向上してきている。

最近では,センサ関連の書物にその原理が紹介されることは少なくなっているが,測定原理が単純で比較的環境変数の影響を受けにくい。

電磁気学といえば,多く一般論から入るが,工学部なら,このような電磁センサについても言及していただきたいものだと考えるアナログエンジニアである。

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2008年3月27日 (木)

出力アドミタンスhoe

エミッタ接地回路での出力アドミタンスhoeは,コレクタ電圧の変化に対するコレクタ電流変化の逆数で

hoe=ΔIC/ΔVC である。

一方,アーリー効果は,コレクタ電流のコレクタ電圧依存性で,ベース電流一定なら

IC=IC0(1+VCE/VA) ただし,VAはアーリー電圧,IC0はVCE=0に外挿したコレクタ電流である。

したがって,ΔIC=IC0(ΔVCE/VA)  hoe=ΔIC/ΔVCE=IC0/VAとなる。

Hoe_0001 npnトランジスタでは,C-E間の定電流源に並列に1/hoeの抵抗が入る形となる。VA=80V,IC=1mAとすれば,1/hoe=80kΩである。

この値は,エミッタ接地増幅器のコレクタ抵抗の数10倍程度であるから,エミッタ接地増幅器の電圧利得計算において,C-E間が定電流源と考えた場合に比べ,1/hoeの負荷効果により数%低めとなる。

アーリー電圧VAはコレクタ電流にあまり依存しないので,出力アドミタンスはほぼコレクタ電流に比例することになる。

出力アドミタンスは,消費電力増加に伴う電流増幅率hFEの増加の影響を受ける。したがって,パルス測定では比較的アーリー電圧から求めた値に近くなるが,直流に微小な交流を流し測定した値とは異なってくる。

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2008年3月26日 (水)

アーリー電圧

バイポーラトランジスタのVCE-IC曲線の直線部を負側に延長すると,ほぼ点VAでゼロと交わる。

これがアーリー電圧である。アーリー電圧VAの測定は案外,注意が必要である。

VCEが2V程度以下の部分を使うと,ON状態の特性に近づくので,VAは低めに,かつコレクタ電流特性群が同じ点に収束しない。

VCEが高め,コレクタ電流ICが高めの場合には,自己加熱によりhFEが増加するので,これもアーリー電圧が低めにでる要因である。

VCEが降伏電圧近くになると,見かけ上のhFEが大きくなるので,VAを低めに見積もることになる。

理想は,自己加熱を避けるため,パルス測定でVCE-IC曲線をとり,その平坦部を左側に延長するとアーリー電圧VAが求まる。実験的に求めるのだから,当然,特定の1点で完全には交わらないが,それでも有効数字1.5桁程度で測定できる。通常は80-200V程度である。高VCE,高ICでは温度上昇によるhFEの増加のため,VAは低く測定されやすい。

数式モデルとして,私はIC=IC0(1+VCE/VA)の式を通常用いる。

回路シミュレータSPICEでは,VAを指定する。hパラメータのhoeに関連するパラメータである。

アーリー電圧は,チップ温度一定で,適当な電圧範囲で取得された複数のVCE-IC曲線からもとめるべきものと考える。

アーリー電圧VAとhパラメータの関係については,次の機会に述べる。

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2008年3月25日 (火)

仮想短絡

オペアンプの電圧利得は一般に100万程度と極めて大きい。

出力は±10V余であるから,線形動作している場合には,オペアンプの入力端子の電位差は±10μV程度と小さく,多くの用途では実用上0Vと見なせる。これが仮想短絡の意味である。

オペアンプの+入力端子と-入力端子の電位差が0となるように,出力が決まることを先取りすれば,少ない計算量でオペアンプ回路の入出力関係を簡単に求めることができる。したがって,オペアンプの周辺回路が複雑な場合にも,抵抗比の精度が問題になる回路でもその効果を効率よく解析できる。

オペアンプが線形動作するには,負帰還が安定に掛かっている場合に限られ,かつ電圧利得が十分高いことが前提である。

したがって,電圧利得が減少する相対的に高い周波数や,電圧利得が小さい場合には面倒でも電圧利得Aの負帰還回路として,解析を行う必要がある。

オペアンプ回路では,負帰還をかけて使うケースが最も多いが,オープンループでコンパレータとして使用する場合や,正帰還をかけて使用する場合もある。

また,回路定数の不適切な微分回路では発振ぎみになることもある。

仮想接地の概念は,無限大電圧利得,負帰還,制御安定性の3項目が揃って,はじめて成立する。

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2008年3月24日 (月)

回路屋の新人時代

私は若いとき転職を経験している。もう,40年前のことである。

転職を考えたときから,アナログ屋を目指した。

応物出身の私には系統だった回路の知識は無かった。

そのころ,東京近郊に住んでいたので,大手本屋さんに行き,SEEC(Semiconductor Electronics Education Comimittes)の訳本を入手した。半年掛かって,全7冊を読んだ。日本には,当時類書はなかった。半導体の基礎から始まり,回路の限界や回路構成のハンドブックまで含む。そうそうたる訳者が名を連ねている。

この本が回路屋としてのその後の設計技術の元になった。その後も,何冊か原書の名著にであった。

今の若い方たちの多くは本格的な専門書を読むことが少ないような気がする。

系統だった知識・技術は本の力を借りなければ,容易には身につかないと思う。

基礎知識と,技術的戦略の手ほどきがあってはじめてアナログ屋は育つ。

個人的自己努力あっての技術力向上である。

その上で次の会社に採用された。

回路かソフトかの選択肢はあったが,無論回路を選んだ。その当時からソフト屋さんの残業は凄まじいものがあった。私の体力では到底勤まらない職種である。

新職場での最初の仕事は,ある回路のハイブリッドIC化バージョンの性能試験であった。指導者との意見の相違はあったが,採用不可の結論を最終的に出した。YESの答えを出すことは短期的にはやさしい。受け入れやすい。しかし,長期的にみれば,掛け値なしの判断がその後の運命を決める。

アナログエンジニアは,技術的な嘘をつくことは無い。ついたら最後,泥沼のエンジニアモードが待ち受ける。

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2008年3月22日 (土)

子猫が我が家に

1_2163 子猫が我が家にやってきた。

離乳したばかりの子猫で体長(尻尾を除く)22cmくらいで,模様は茶トラ。

連れてきたすぐの1時間くらいは,居間を慎重に探索。

その後,我が家の「さち」の膝でしばらく寝そべる。

ミルクゼリーと子猫用の缶詰を食べて,すやすやお休み。

もう2hくらい寝ているかな。一匹まえに丸くなっている寝姿が愛らしい。

「チャーチル」の名前で飼う事にした。「チャー」と呼ぶことになるだろう。

人懐っこい性格の雄猫である。室内で飼う方針である。

我が家にきて4時間,まだトイレはしていない。

この子猫,私が飼える最後のペットかも知れない。飼い主が先に逝くとかわいそうだからだ。愛玩猫として多くの時間を私とともに過ごすはずだ。ニャー。

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2008年3月21日 (金)

可変抵抗3

可変抵抗は,固定抵抗に比べて使用に際しての考慮点が多い。

まず,入手できる抵抗値が1,2,5の10のn乗の値しかなく,かつ抵抗精度は低い。

次に,抵抗体の材料により,温度係数と製造できる範囲が制約されている。

3番目に,調整分解能に注意を払う必要がある。10回転の可変抵抗を使用しても1/10000の調整はかなり難しい。多回転トリマでは,品種により1回転トリマ程度の分解能しか持たないものもある。

回路上の可変抵抗の挿入位置によっては,調整対象の項目に対して回転角と線形な関係で無い場合もある。

複数の可変抵抗による調整を行う場合には,調整対象項目に対応する信号を順次入力し,調整の手順を決めなければならない。各可変抵抗の調整機能は調整対象と1:1に対応しない場合もある。うまく可変抵抗の挿入位置を工夫して,可変抵抗と調整項目が干渉しないことが望まれる。

可変抵抗を含む回路の解析は,可変抵抗値の値をRo,調整位置をx (xの変域は0~1)として,Ro・xとRo(1-x)の2本の抵抗として置き換えて解けばよい。しかし,計算量はかなり増える。

可変抵抗の調整範囲を決めるには,そのユニットのばらつきをきちんと把握していなければならないので,通常の設計に加えて,回路で使われる部品の詳細な知識も必要となる。

このような背景があるので,可変抵抗を適正に使うことができる方は,設計速度に差はあってもプロとして通用するセンスの持ち主であるといえる。

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2008年3月18日 (火)

電子回路の大きな電流

扱う周波数と電力はおよそ反比例関係にある。

扱う電力が大きくなると,配線も部品も大きくなるのでスピードが出ない。当時の経験則をかなり上回る周波数・電力積での設計である。キャリア周波数は200kHzを越え,数KW出力のアンプを製作したことがある。

電子回路としての部品を使って,ピーク数kW級のリニアアンプだ。

各部の電圧変化率は1000V/μs,電流変化率は1000A/μsを越えている。

試作段階では,散々苦労した。回路規模が小さなユニットの組み合わせではなく消費電力が大きいので,パワー部が誤動作すると100部品を超える部品のうち,数10箇所も破損する。再びプロトタイプを1週間かかりで組み立てなおし,通電を開始する。無事ヒューズが飛ばないで通電できれば,各部の電圧,電流波形を何とか観測できる。失敗すれば,何の情報も得られないまま,対策案を織り込んだ回路を組み立てる。

やっと出力を絞り込んだ状態で,試作品が動き出す。

しかし,電流・電圧とも大きいので,オシロスコープのプローブを近づけただけで,大きなノイズが入る。肝心な部分の波形を観測するのも簡単ではない。

主トランジスタにはパワーFETを多数並列で使用した。

FETの並列接続では,各FETに流れる電流が均等であるかどうかの確認が必要になる。このくらいの電流になるとクランプオン電流プローブを普通は使うのだが,電流プローブを使うためのループを使うと配線長が伸び波形が変わる。

そこで,巻き線抵抗の素線を使い,1cmくらいにしてそれぞれのソースに挿入して電流波形をモニターした。

素線は半田が溶ける寸前の状態まで加熱されるが,何とか検証に必要な測定はできた。

実機では,ドレイン側は銅のブスバー,パワーラインの基板配線幅は1cmをかなり超える。

多層板を使って静電シールドなども施した。ふむ,出力10kW程度までなら電子回路的設計手法が通用するのだと、しみぢみ感じた次第である。

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2段エミッタフォロワ

バイポーラトランジスタによるエミッタフォロワは,ベースに信号VIを入力し,エミッタ抵抗REを接続,エミッタから出力を取り出す。

この回路形式は,直流的にはVBEだけ,入力信号VIより低い電圧が出力されるとともに,広い入力電圧範囲ではエミッタ電流が大幅に変化するので,対数的な非線形性が発生する。

非線形性は,エミッタ負荷を定電流回路とすることで,消去できる。VBEによるDCレベルのシフトはどうするか。

たとえば,npn初段エミッタフォロワの次段にpnpエミッタフォロワを接続する。

このようにすれば,DCレベルシフトも少なく,2段エミッタフォロワを電圧利得1で高速のDC電圧フォロワとして使用できる。

2つのトランジスタのVBEの違いは,各段に流す電流を最適化すれば吸収できる。

オペアンプによる電圧フォロワほどのDC精度はないが,問題にするDC誤差が10mV程度以上許されるならこの回路は個別部品で組めるとともに,エミッタ接地増幅器に比べ帯域が数10倍広い。

もちろん,同様な回路形式で作られた集積回路も存在する。

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2008年3月17日 (月)

レベルシフト回路1

エミッタフォロワ回路は,トランジスタのエミッタ・GND間に抵抗REを挿入すると,ベース電位VIからVBEだけ下がった出力電圧がエミッタ端子から得られる。交流的にはほぼ電圧利得は+1である。

では,この回路のコレクタと電源VCCとの間にコレクタ抵抗RCを挿入するとどうなるか。

電流増幅率hFEが数十以上あれば,ほぼコレクタ電流ICとエミッタ電流IEは等しい。

したがって,コレクタ抵抗RCにはIERCの電圧降下が発生する。

エミッタ電流IEはおよそIE=(VI-VBE)/REで一定なので,トランジスタのコレクタ端子には,VCCを基準とするIE・RCの逆極性の電圧が発生する。

エミッタフォロワ回路にコレクタ抵抗を付加すると,VCC基準の信号が概略得られる。

この性質を活用すると,GND基準の信号をVCC基準の逆極性の信号に変換できる。

VCCが200Vを越えても利用できる。ただしnpnトランジスタなら最悪でもVCE>0.3V程度は確保しなければならない。

コレクタ信号は何に使うか。色々な使い方があるが,GND基準の信号で,逆極性のバイポーラトランジスタやFETを駆動することに使われることも多い。

基本となる知識はIC≒IEである。

この回路では,エミッタフォロワではあまり制約とならなかったコレクタ・ベース間容量Cobが,定数配分によっては周波数特性の上限を制約することもある。

VCC=200V近くのレベルシフトを行うと,消費電力Pdのチェックも必要である。

アナログ電子回路の性能は一番弱いところで制約される。

技術的には,長所を生かし,短所が表面かしない工夫がアナログ回路のの通常の戦略である。

一般化すると,強きを助け弱きを無視できる環境を整えるのがアナログエンジニアの戦略だろう。言い過ぎか?

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2008年3月14日 (金)

3入力加減算器

3 図の回路で,入出力関係をVo=V3-V2-V1とする条件があるか。

あるなら,R1,R2をどのような関係に定めればよいか?

この様な形にできると,必要なオペアンプの数を1個減らせる場合がある。

点aと点bが仮想短絡となることを利用し,キルヒホッフの法則で入出力関係を求め,この回路の入出力関係を式のまま,真面目に求めR1,R2がVo=V3-V2-V1の形になるようにV1かV3の係数を決める。

答えは,Yesである。R1=R,R2=R/2ならば上記の条件を満たす。

各抵抗がばらばらの値になることを許容するなら,5本の抵抗をR1~R5とおいて解き,Vo=k1・V1+k2・V2+k3・V3の形にまとめればよい。計算量は増える。しかし、一般形で解くことにより,各抵抗の及ぼす影響:素子感度を正確に求めることができる。

抵抗素子のばらつきにより,望む特性がどのような誤差を含んだ形になるかを計算するのが,素子感度計算である。

多くの場合,素子感度が1以上になるときは,実質的に大きな引き算を行っている回路で生じる。

アナログエンジニアは実質的な引き算となる演算に特に注意を払う。

この回路は,たとえば標準的な加減算器の拡張形であるが,オペアンプによる演算段数を減らせる場合がある。

回路の基本特性の計算をもとにし,次の段階で性能予測をするなら一般形で解析し,解の有無を含めてチェックする必要がある。

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2008年3月13日 (木)

抵抗温度係数の調整

抵抗温度係数を所望の値に調整したいケースはセンサ回路ではよく生じる。

温度係数をα,基準温度からの温度上昇をtとすれば,感温抵抗の値はRa(1+αt)と表すことができる。

感温抵抗にkRaのゼロ温度係数を接続し合成抵抗Rを求めると,

R=kRa+Ra(1+αt)=Ra(1+k){1+αt/(1+k)}となる。

直列接続では,全体抵抗Rが大きくなるとともに温度係数を任意の低い温度係数に調整できる。

では,並列接続するとどうなるか。

級数展開を2回使ってαt(微小項として)の一次項を計算すると

R=1/({/kRa+1/Ra(1+αt)}≒kRa/(1+k)・{1+αt/(1+1/k)}

となる。抵抗値が下がり,温度係数も下がる。同時に若干2次以上の温度係数も変化する。

この手法は,金属箔(線)ひずみゲージブリッジの精密な温度補償にも使われる。

感温抵抗に直列・並列に不感温抵抗を接続することにより,様々な温度補償が可能となる。

温度係数を下げ、抵抗値を上昇させる操作(直列接続)と下げる操作(並列接続)を組み合わせるとブリッジの平衡を同時に2つの温度で実現できる。

この場合,ゼロ温度係数の抵抗値は,構成データのアナログメモリの役割を果たす。

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2008年3月12日 (水)

猫の子

我が家は基本的に猫派である。

しばらくペットとから遠ざかっていたが,近々猫を飼う事にした。

生後3週間で初対面。我が家のさちが見合いに行ったのだが,模様は黒トラ,白,茶色のきじなど4匹。

今回は室内で飼う予定なので,穏やかで人なつこい子猫を選ぶ方針だ。

一時は6匹飼っていたこともあるが,猫の性格は実にバラエティに富んでいる。

我が家の周辺でボス猫だった猫は,人にあまり愛想が良くなかったが雌猫にはかなり持てていた。発情期には1:nで庭で交尾する場面があった。模様は黒トラ。

今度は,ニャーと呼びかければニャーと答える子猫を予約。模様は茶きじ。

まだ乳離れしていないので,我が家に来るのは4月に入ってから。待ちどうしい。

猫をなでていると心がなごむ。しかし,猫は人間とはちょうどいい程度の距離を置いているペットである。犬とは違う。

アナログエンジニアは犬年生まれであるが,猫大好き人間である。

自分の周囲状況と自分の生き方とを巧みにバランスを取っているような気がする。

企業は犬的人間を求めるようであるが,アナログ回路を実践するとなると猫的バランス感覚が必要なようである。

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2008年3月11日 (火)

加減算器の入力

Photo 2つの入力の差を1個のオペアンプで取得するのが加減算器である。

反転加算器と反転増幅器を組み合わせて,差を取ることもできる。

この2つの方法で根本的に異なる部分がある。

反転加算器では,入力の開放(OPEN)は総ての入力がゼロと見なされる。

しかし,図の加減算器ではそうはならない。

入力V1が開放なら,V2が1/2で分圧されて,その出力が電圧フォロワで出力される。出力はV2/2となる。

V2開放なら,出力は-V1となる。

この原因は,加減算器ではb点電圧が,0Vでないことに起因する。

入力開放が0入力と見なされると,トランスファー機能のないアナログSWでは,単にSWをOFFすることで入力0を実現できる。入力開放が入力0と見なされない場合には,もう1個アナログSWを使って,基準電位に短絡しなければならない。

2個のアナログSWが同時ONすると入力信号V1を短絡し過大な電流が流れる可能性があるので,両ONを回避する時間差を付ける作業が必要である。

たかがアナログSWが1個増えるか否かの問題であるが,SWのタイミング制御が必要になると付帯回路が必要になる。

したがって,入力の開放が0入力と見なされて演算できるかどうかは,意外に回路システムの構成に影響するのである。

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2008年3月10日 (月)

水槽のヒータ断線

熱帯魚水槽のヒータが断線した。

朝,水槽のガラスの外壁に触ると,冷たい。水温計は15℃。

温度コントローラはON状態である。テスターでヒータの抵抗を測定すると∞。

電圧を測定するとAC97V。トライアックによるON/OFF制御らしい。

とりあえず,隣室との引き戸をあけ,室温の上昇を図る。

午後,交換用ヒーターを購入。今度は,100Wの物で,少しサイズが大きいものにした。熱流束を下げれば少しは信頼性が高くなるとの希望的観測。

45cm水槽なので,約40Lの水が入っている。

100W=24cal/秒なので,目標温度25℃まで10℃昇温しなければならない。水槽壁面からの放熱を無視しても,約16000秒=4.6時間掛かる。制御状態に入るまでには5時間程度掛かるだろう。

30分で1℃の昇温率だ。温度上昇率を1hモニターして放置。

ヒータ取り扱い説明書を真面目に見る。1年程度を目安に交換を勧めている。

水に濡れた状態でAC100Vに感電すれば,かなり危険だろう。前回のヒータ断線時に分解したらヒューズが切れていた。ヒューズ材料を選んで漏水時には早く切れるようになっているか,防水機能部品が劣化する前にヒューズが切れる工夫がなされているかもしれない。

設定温度の25℃に達して,制御動作を確認してこの作業は終了。

被害は16匹いるネオンテトラ1匹が昇天。

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2008年3月 7日 (金)

サーミスタ1

サーミスタは酸化物半導体で,温度測定や温度補償要素に広く使われている。

その特徴は,大きな負の温度係数:具体的には-数%あり,微小な温度変化を検出するには好都合である。

この様な高い温度係数は当然広い温度範囲では線形にはならない。

サーミスタの理論特性は下記の式で表される。

R=Ra・exp B(1/T-1/Ta)

R:抵抗値,B:サーミスタ定数,T:実温度(K),Ta:基準温度,Ra:基準温度における抵抗値

Bは単にB定数と呼ばれることもあり,絶対温度で1000~5000K程度の範囲にある。

サーミスタの理論式から,1/TとRの関係を片対数グラフ上に描くと直線関係になる。これを微分すれば,その温度での温度係数となる。温度係数は定数にならない。

温度係数α=-B/T^2である。Tは絶対温度である。

サーミスタは非常に高い負の温度係数が売りであるが,その反面,非線形な温度係数の扱いが課題となる。

サーミスタはCo,Ni,Fe,Cuなどの遷移金属酸化物の2-4成分系が使われているが,特殊なものはルテニウムなどを含ませて比抵抗を調整する場合もある。

一口にサーミスタと言っても,様々なB定数や抵抗値のものがあり,信頼性も用途も幅広いものがある。

それがサーミスタであると考えるアナログエンジニアである。

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2008年3月 6日 (木)

FETは電圧制御か

高速スイッチングをパワーFETにさせるとき,通常はオン期間が延びる。

パワーFET では,静的には制御のために電力を消費しないが,動的にはかなり大きい電流駆動能力をその制御回路に求められる。

パワーFETの入力端子G-S間容量Cissは,基本的にコンデンサと等価である。

たとえばCiss=1000pF,電圧スイング10V,SW時間0.1μsなら,CV=Itから,100mAの駆動能力がその制御回路に必要になる。かなり大きな電流である。

ドレイン電圧が変化する瞬間には,G-D間のCgdを充電する電流も必要になる。

パワーFETを高速駆動するときには,ゲート制御信号は低インピーダンスである必要がある。スイッチング時間は各部の充放電時間でおよそ決まる。

パワーFETは電圧制御であるが,制御側から見るとコンデンサに見える。

ターンオンはG-S間電圧が3-4Vで始まる品種が多いが,オン抵抗を低減するために10数Vまで駆動する。しかし,ターンオフの際には多くの場合,Cissの放電は0V以上で行われる。したがって充電時間は短時間で,放電時間はより延びる。

このため,通常の駆動回路ではオフ時間がオン時間が延長する傾向にある。

プッシュプルスイッチング回路では,オン時間の重複は避けなければならないので,通常は両オフ時間を設ける。

この制御には様々な工夫があり,不用意にプッシュプル回路のスイッチング素子としてトランジスタを使用すると上下トランジスタの同時オンにより過大な電流が流れる。(クロスカレントコンダクション)

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2008年3月 5日 (水)

オフセット電圧1

オペアンプを用いた正相増幅器は,バッファアンプとしても使われるが,高入力インピーダンスの微小電圧の増幅に使われることも多い。

どこまで微小電圧を増幅できるかの予測は,センサシステム/計測システムなどの全体構成に大きな影響を及ぼす。

一方,反転増幅器は信号源インピーダンスの影響を受けやすいので,システムの初段に使われることは少ない。

正相増幅器では,そのオフセット電圧VIOは入力信号VIと同じ様に増幅される。オペアンプの+入力端子にはVIが掛り,その電圧からVIOだけ異なる電圧に等しくなるように,出力を分圧した電圧が接続される-入力端子の電圧と等しくなるように制御される。

分圧比の逆数が増幅率なので,正相増幅器ではオフセット電圧も信号と同様に増幅される。

オフセット電圧の値は,汎用オペアンプの数mVから高精度オペアンプの数10μVまで様々な品種がある。これと扱う信号電圧の比が無調整時のS/N比といえるだろう。

しかし,初段増幅の後に加算部分があり,初段に0Vを入力できれば,オフセット電圧の影響は消去できるので問題は少ない。

オフセット電圧は室温で規定されているので,それとは別にオフセット電圧の温度変化(温度ドリフト)μV/℃が,オフセット調整後の性能指標になる。

回路の環境温度変化×オフセットドリフトが,その回路の次の段階での性能制約条件になる。この値が,基本的にS/N比を決める。

オフセットドリフトは,線形であるとは限らない。しかも,典型値で示されることが多い。

現在の最高レベルのオフセットドリフトは典型値で±0.1μV/℃のオーダーである。ほとんどがバイポーラトランジスタ入力の演算増幅器である。10℃の環境温度変化なら1μVは判別できる。10℃の環境温度を想定すれば1μVがDC増幅の限界である。

ちなみに,汎用オペアンプでは±10μVMAXであるから,0.1mVを確実に増幅することは厳しいのである。

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2008年3月 4日 (火)

バイアス電流1

Photo オペアンプのバイアス電流を考慮した入出力関係は,図の回路を解析することにより定量化できる。

問題の形は,オペアンプが入力バイアス電流IBが±入力端子に流入し,その他の特性は理想的であると仮定の下に,回路の入出力関係がIBの項を含まないようにR3の値を求めよ,という課題である。

結果はR3=R1//R2となる。//はR1とR2の並列抵抗値の略記である。

解き方は,まずb点電圧が-R3IBとなることに着目する。

点aも点bと同じ電圧に制御される。

この回路を式のまま解けば(数行の式の変形),求める答えが出る。

反転増幅器では,R3が実際に存在する回路と,R3が短絡された形で示される場合がある。

バイアス電流IBが±入力端子に等しく流れれば,反転増幅器ではR3により,その効果は消去できる。

しかし,アナログエンジニアは稀にしかR3を挿入しない。

理由はオペアンプの+入力端子と-入力端子に流れる電流が等しいとは限らないからである。汎用オペアンプのデーターシートでは,その差は数倍ある。J-FET入力オペアンプではバイアス電流と同程度である。

したがって,R3を量産ベースで使用して性能向上に寄与できるケースはあまり多くない。

R3のある図の反転増幅器は,このような理由から初学者に提示すべき回路ではないと私は考えている。

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2008年3月 3日 (月)

似て非なる回路

_0001 図のオペアンプ回路は何に見えるでしょうか?

反転増幅器。いいえ,+入力端子にR1経由で信号が入り,出力からR2経由でオペアンプの+入力端子に帰還されています。

反転増幅器形式とは,入力端子の+,-が異なるだけですが,正帰還が働くので仮想短絡は成立していません。

小さな+入力電圧VIが入力されれば,出力VOは大きく+に振れて,オペアンプの+入力端子にはR2経由でさらに+方向の電圧が掛かり,オペアンプは最大スリューレートで+方向に振り切れます。このとき+入力端子は正の高い電圧になっています。

この状態で,VIを負電圧にしていくと,ある電圧で実際の+入力端子が0Vを横切り,出力は一瞬にして-方向に振り切れます。

VIが十分大きい負の電圧から+入力端子を横切る電圧と,正の方向から0Vを横切る点が異なるのです。

この回路は非反転ヒステリシスコンパレータです。

+入力端子を横切る電圧は,出力の振り切れ+電圧VOHと-振り切れ電圧VOLに依存します。

遷移する電圧は,上記の条件から下側閾値VTL=-VOH・R1/R2 と上側閾値VTH=-VOL・R1/R2です。

VTLとVTHの間の電圧変化には反応しません。シュミットトリガと同じです。

なお,仮想短絡が成立していないので,オペアンプのバイアス電流は通常の場合と同じではないケースがあります。

また,VOH,VOLはオペアンプの出力電圧の関数なので,温度変化の影響も受けます。

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