抵抗温度係数の調整
抵抗温度係数を所望の値に調整したいケースはセンサ回路ではよく生じる。
温度係数をα,基準温度からの温度上昇をtとすれば,感温抵抗の値はRa(1+αt)と表すことができる。
感温抵抗にkRaのゼロ温度係数を接続し合成抵抗Rを求めると,
R=kRa+Ra(1+αt)=Ra(1+k){1+αt/(1+k)}となる。
直列接続では,全体抵抗Rが大きくなるとともに温度係数を任意の低い温度係数に調整できる。
では,並列接続するとどうなるか。
級数展開を2回使ってαt(微小項として)の一次項を計算すると
R=1/({/kRa+1/Ra(1+αt)}≒kRa/(1+k)・{1+αt/(1+1/k)}
となる。抵抗値が下がり,温度係数も下がる。同時に若干2次以上の温度係数も変化する。
この手法は,金属箔(線)ひずみゲージブリッジの精密な温度補償にも使われる。
感温抵抗に直列・並列に不感温抵抗を接続することにより,様々な温度補償が可能となる。
温度係数を下げ、抵抗値を上昇させる操作(直列接続)と下げる操作(並列接続)を組み合わせるとブリッジの平衡を同時に2つの温度で実現できる。
この場合,ゼロ温度係数の抵抗値は,構成データのアナログメモリの役割を果たす。
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