似て非なる回路
反転増幅器。いいえ,+入力端子にR1経由で信号が入り,出力からR2経由でオペアンプの+入力端子に帰還されています。
反転増幅器形式とは,入力端子の+,-が異なるだけですが,正帰還が働くので仮想短絡は成立していません。
小さな+入力電圧VIが入力されれば,出力VOは大きく+に振れて,オペアンプの+入力端子にはR2経由でさらに+方向の電圧が掛かり,オペアンプは最大スリューレートで+方向に振り切れます。このとき+入力端子は正の高い電圧になっています。
この状態で,VIを負電圧にしていくと,ある電圧で実際の+入力端子が0Vを横切り,出力は一瞬にして-方向に振り切れます。
VIが十分大きい負の電圧から+入力端子を横切る電圧と,正の方向から0Vを横切る点が異なるのです。
この回路は非反転ヒステリシスコンパレータです。
+入力端子を横切る電圧は,出力の振り切れ+電圧VOHと-振り切れ電圧VOLに依存します。
遷移する電圧は,上記の条件から下側閾値VTL=-VOH・R1/R2 と上側閾値VTH=-VOL・R1/R2です。
VTLとVTHの間の電圧変化には反応しません。シュミットトリガと同じです。
なお,仮想短絡が成立していないので,オペアンプのバイアス電流は通常の場合と同じではないケースがあります。
また,VOH,VOLはオペアンプの出力電圧の関数なので,温度変化の影響も受けます。
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