回路シミュレータ
電子回路の回路シミュレータは,米国カリフォルニア大学で1970年頃に開発されたSPICE(simulation program with integrated circuit enphasis)から派生・発展したものが多く使われている。
その名のとおり,アナログ集積回路の試作回数を少なくするために開発されたが,モデルベースで電子回路の特性を調べるツールであることには今も変わりがない。
回路シミュレータは,ある程度の部品,半導体デバイスの数式モデルを理解した上で,間違っても良いから設計定数を決めることができる能力がないと使いこなせない。
個別部品で組む電子回路の場合には,目的に応じて半導体デバイスのパラメータを設定する能力も必要である。たとえば,バイポーラトランジスタモデルでは30項目以上のパラメータを設定できるが,解析目的に応じて影響する数個のパラメータさえ正確に設定できれば,かなり実回路に近い解析が可能である。
そのためには,解析まえにどのような回路挙動をするかある程度予測して,その目的に関係するパラメータを把握した上で解析条件を設定し,目的とする測定点を定める必要がある。
回路シミュレータが威力を発揮するのは,手解析で可能な規模を遥かに超える回路やインダクタンスや容量が多数含まれる回路を扱う場面である。
以前は大型計算器上で動作していたが,現在ではパソコン上で結構快適に動作する時代になった。シミュレータは設計能力なくして有効利用は望めないが,手解析では困難な回路起動時の挙動などビジブルに把握することもできる。
いまや,電子回路設計においては,不可欠なツールであると考えている。しかし,過去に一部で喧伝されたようにエンジニアの設計能力に関係なく意味のある解析ができるツールではない。
力のあるエンジニアの能力を最大限に引き出すのが,この手のツールであると私は感じている。
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