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著作

  • 共著:「次世代センサハンドブック」培風館(2008)、「マイクロセンサ工学」技術評論社(2009.8)
  • 連絡先
    私への講演、セミナー、技術指導などのご依頼はこちらまで↓ okayamaproあっとまーくyahoo.co.jp  あっとまーくは半角の@にしてください
  • 単独著
    アナログ電子回路設計入門 (1994.12)、コロナ社: 実践アナログ回路設計・解析入門 (2005.1)、日刊工業: オペアンプ基礎回路再入門 (2005.7)、日刊工業: ダイオード・トランジスタ回路入門 (2005.12)、日刊工業: スイッチングコンバータ回路入門 (2006.9)、日刊工業: これならわかるアナログ電子回路基礎技術 (2007.6)

専門とする事項

  • 電源を含む精密アナログ電子回路の設計・開発、およびその教育、技術指導。センサ・アクチュエータシステムの構築。電子機器の不良解析指導および再発防止指導。解析主導型設計の推進と回路シミュレータの実践的活用指導。技術的側面からのプロジェクト管理指導。

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新刊

  • 岡山 努: アナログ電子回路の基礎と入門!これ1冊

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2008年5月

2008年5月31日 (土)

希少金属

おなじみのところでは,コネクタに使われる金(Au)がある。べた金接点では1接点当たり数mgの金が使用される。接触する部分のみニッケル下地(Ni)に金を付ける技術により,その使用量は各段に減少したが,プリント基板に含まれれる金は鉱石に匹敵する。

白金(Pt)は触媒作用により,自動車の排ガス浄化に使われている。私が学生の頃には,確か金と白金が同程度の値段であったが,今は白金の方が格段に高い。同属元素のパラジウム(Pd)も高くなっており,保険での歯科材料に使われることが少なくなった。

ネオジウムやサマリウムも強力な磁石の原料で,小型永久磁石モータに必須の金属材料である。

すこし,マイナーのところでは,透明電極に使われるインジウムがある。

希少金属ではないが,銀もそのうち高くなるのではないかと考えている。鉛フリー半田の主原料のひとつであるからだ。

蛍光体といえば,希土類の元素を私は想起する。ブラウン管カラーTVに使われていたが,資源が枯渇する前にLCD方式に変わった。

難削材を削るには,タングステンやコバルトを含む超硬合金の刃具が必要である。

これからの物作りは,少し規模が多くなれば残存資源量に配慮した製造プロセスも必要になるのではないか。

日本はさまざまな希少資源を使っているが,これまで資源の回収が十分であったとはいえない。

今後の工学教育においては,「資源」と「リサイクル」の視点のある教育も必要ではないか。

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2008年5月29日 (木)

アナログ回路さまざま

アナログ電子回路と一言で分類されること多いが,その中には,個別部品で組む精密アナログ回路(DC-20MHz),集積化されたICの中で動作するAD/DAコンバータ類,FM帯間での送受信器,そしてGHz帯での通信技術などなどがある。

わたしは,センサとインターフェースを行うアナログ回路やその電源を扱うことが多い。

私のジャンルでは,かなり解析主導型設計が可能な場合が多い。

センサとのインターフェースを扱う以上,高校物理の範疇を越えたセンサの理解も必要である。

機械現象や化学現象も絡み合ってくることもある。生物学的知識の初歩を必要とする場合もある。

アナログエンジニアはこのようなジャンルでお仕事をさせていただいている。

強みは,多くの関連分野で相手の技術用語で渡り合えることだ。

精密アナログ回路の価値観,戦略は,私の信号源の大半を占める種々のセンサ群と,出力を受け取って信号を処理するA/Dコンバータとのインターフェースで決まる。

もちろん,電源システムも私の扱うべきジャンルである。

SW電源が普及した今,SWパルスが精密アナログ回路に混入することは避けられない。この要因を見切って,電源システムを組むことも重要である。細いパルスの混入とAC的絶縁はなかなか両立しない。このバランスを取ることもひとつのアナログエンジニアのバランス感覚である。

学術の中間領域で生きるアナログエンジニアにとって,物理と化学の素養は他のエンジニアとの違いを生じる原因のひとつとなっている。

精密アナログ回路は,回路額としては一般的と思えないが,その道一筋で40年以上やってきた。共同作業が可能な企業を命ある限り支援したいと願っている。

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2008年5月28日 (水)

正弦波発振回路

CR正弦波発振回路には,さまざまな回路形式がある。

移相発振,ウィーンブリッジ発振,クオドラチャ発振などなど。

移相発振器はCRの一次遅れ回路3段以上で位相回転を180°にするとともに増幅器で総合利得を1にする。この回路は,私が試作した範囲では,微調整無しに綺麗な正弦波を得られることは無かった。

ウィーンブリッジ発振回路の発振条件は比較的簡単な計算で求まるが,紹介記事などでよく見かけるツェナーダイオードクランプの振幅制限方式では簡単に綺麗な正弦波を得ることは案外難しい。

クオドラチャ発振回路の発振原理は振り子の微分方程式と同じである。

いずれの回路も,熱雑音などの発振の種を成長させ,所望の振幅に到達したらおもに増幅率を制御(AGC)により発振条件を厳密に制御する。

発振には,発振の種になる雑音,そして発振条件より過剰な利得でその種を成長させる過程と,定常発振での電圧増幅率の制御がキーポイントである。

ウィーンブリッジ発振器の場合には,電圧制御可変抵抗を用いることが多い。電圧制御可変抵抗にはJ-FETが本格的にはふつう使用される。

当然,交流を整流平滑して制御信号とするので,フィルタと発振周波数のほぼ幾何平均の周波数で制御上の課題が生じる。ウィーンブリッジ発振回路の起動時には,コンマ何秒かの時間遅れをおいて,少しオーバーシュートして定常状態に入るのが普通である。発振周期の数千倍の時間を要することもある。

発振回路の詳細解析経験無しに,回路の予期しない寄生発振を自信を持って止める事は難しいのではないか。

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2008年5月27日 (火)

子猫の仕業

我が家の子猫,チャーチル君(略称チャー)は月齢3ヶ月。

先週は私が不在だったので,日中は子猫1匹が居間+2部屋で自由自在。

チャーは歯が生え揃ってきたばかりで,切れ味が良いらしい。何でも噛んでみる。

ぶら下がった紐状のものがお好きなようだ。

私の携帯電話の充電アダプターの出力線が噛み切られていた。

+線が中心導体,-線がシールド線のようである。

同軸線が使用されているのはEMC対策か。

充電アダプターは極めて軽量である。内部は捨てる直前にしか見ることができないが,高速絶縁型SWレギュレータか?

アダプターの銘板には短絡をお避くださいの警告がある。電源は普通短絡に耐えるように設計するものと私は思っていたが・・・。安全のためにこの表示があるの?

か半導体を用いた機器では故障により被充電機器の短絡はありえる。それで無くとも,通話を10分もすれば携帯がかなり熱くなる。

私の携帯はスリム&スライド式なので,コネクタが特殊である。また,不使用時にもLCDやメインのボタンが外圧に対して保護されていない。この機種を選んだ私が馬鹿だった。尻ポケットに入れていたら液晶画面の一部が異常点燈しっぱなし。鞄に入れておけば,いつの間にか電源が入っていることもある。耐タンパー性がお粗末だ。

とりあえず,損傷部位を切り取り,芯線とシールド線を接続位置をずらして捩って,テーピング。

充電は問題なくできた。他の充電アダプターを調べてみると,出力線が平行線のものと,同軸線のものがある。

猫被害,和室の障子の2マスが破れ,靴下2足に穴,脱ぎ捨てておいたスポーツウェアのジッパが破損している。

ふーむ,外出時の猫対策レベルをもっとUPしなくては。

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2008年5月26日 (月)

少子化 2

少子化は相対的に高齢者の増加となる。

親子とも加齢に伴う体力・気力の低下は当然,生じる。

深刻なのは,長距離介護である。

お金もかかるし,何よりも介護者が複数居ないとどうにもならない。

選択は2つ。自分が地元に帰るか,高齢の親を近くに呼び寄せるかだ。

地場産業が育っている地域ならまだ良い。そこで,子が再就職し親の面倒を見るチャンスがある。

兄弟が複数居るなら,2交代,3交代で親の介護をすることも何年かは可能であるがやっぱり厳しい。結局,子供達の複数いる都会近郊に呼び寄せた。一人っ子夫婦ではとてもできないだろう。

今,各企業の中で,人員の年齢構成がピラミッド型,あるいは人口の年齢分布より穏やかな企業は少ないのではないか。

もっと詳細に見ると,その中での要員構成は多くの企業の中で,先端部門に多数の若者達が配置されていることだろう。

アナログ回路もいまや基礎技術となり,要員は相対的に少ないと感じている。言葉を強めていえば,絶滅危惧種。

地道な自己トレーニングを必要なこの分野は,促成栽培が効かない。指導者も少なくなっている。

しかし,企業の一部の上層部には,技術の土台を支える基礎技術に関心を寄せる方もいらっしゃる。アナログエンジニアは残る人生ををそのために使おうとしている。

受け皿あっての技術伝承であると思う。そして,受け皿となる方たちの幸せな人生を願う。

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2008年5月21日 (水)

少子化 1

少子化の影響はかなり以前から予測できていた。

人口動態は生死の積分値であるから,予測精度はかなりある。

後期高齢者(私はこの言葉があまり好きでない)の医療費・年金にかかる社会負担は多く予測されているが,工学分野での少子化の影響予測の公開情報は案外少ないと思っている。

工学分野は,今,子供達の理科離れと少子化の影響そして工学のブラックボックス化が同時に進行しているとアナログエンジニアは考えている。

しかも,工学技術はさまざまなバックグラウンドをもつとともに,合理的,論理的な感性も必要である。

大学は学術なので,基本的にはその成果はオープンである。しかし,現在の工業製品は,リバースエンジニアリングや設計方法を公開しない傾向が強いくオープンとはいえない。その結果,学ぶ側からすれば,実務に立脚した「モノを創る戦略とその基礎技術」が見えにくい。

現在の日本の物つくりを維持するには,数千万人の人口が必要であると私は考えている。

そして,さまざまな職種がそれなりの待遇を受けなければ,少子化より先に,長い基礎訓練が必要な職種の魅力が薄れ,それが敏感に子供達の進路に影響を与えていく。

能力は人さまざまで,総ての人が大学教育を受ける必要はあるのか。

大学全入時代を迎えて,中学レベルの数学もできない理系大学生も多く居るはずだ。

40年前までは,新入社員をきちんと叱れるだけの心意気と技術を持ったベテランがそれなりにいた。

若手も叱られなれていない。他人から叱られた経験が少ないない親は,少ない子供をきちんと叱るべきときに叱っているのだろうか。

このような新人にインパクトを与える指導は,指導する側にとっても厳しいものがある。

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2008年5月19日 (月)

報連相

報告,連絡と相談は過去も現在も社会人として重要なコンタクトである。

続けて,報・連・相という。

現在は,ほとんどが電子データでやり取りすることが多いのではないか。

報・連・相は,上司へのコンタクトの形態を普通とるが,部下から見ると,上司の反応を見ることによりその器量・問題意識が明白になる。

報・連・相は,反応が無いのもひとつの反応である。

電子メール時代だから,どこに転送されるかどう使われるかも,発信者自体は制御できない。

また,発想のオリジンも不明確になる傾向が強い。

その対策は,勝負を賭けるときには自分のすべてを特定の人以外には漏らさないことだ。秘匿した部分が漏れれば,その出所のガードが甘いということだ。

もっとデリケートな問題を扱う場合には,私は今も1:1の面談で処理を行う。

当然証拠は残らない。断定的にいえない場合のリスクも進言できる。ただし,この方法はお互いの信頼関係が確立されているときにのみ通用する。

ともあれ,適切に報・連・相が行われている組織は健全で将来性がある。

キー情報を持ったときには,それを使って判断のキーマンの特定やガードの甘い人物を特定できる良い機会である。

この操作を行うには,普段から忠実・かつ過不足の無い表現での報・連・相を行っていることが前提である。

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2008年5月17日 (土)

ノッキングポイント

明日は,シングルラウンド(90,70,50,30m各36射)の公認記録会。プラクティス(練習)を含めて朝から夕方までの長丁場だ。

不安定要素も抱えている。矢を番えるノッキングポイントがほつれ,サービングと呼ばれるその周辺の保護をする補強糸が均等ではなくなっている。

天候はよさそうだが,最近の生活状態が運動する日としない日が極端でメタボリック?的に腹がでて,運動着が合わなくなってきたので,とりあえずズボンだけ調達した。

90mの出足が良いといいのだけど。

一生に一度で良いから,ブロンズバッジがもらえる1000点を公式記録会で出したいと願っている。

距離別目標点数は,90m:200点 70m,50m:250点 30m:300点である。

全日本クラスは1350点程度,満点は1440点だから-90点。私の目標は1000点だから-440点。

10日ほどまえに,一人シングルラウンドをやったが,自己記録の980点ちょうど。

ふーむ,どこかの距離で距離別自己記録を更新するくらいの状態で無いと,ちょっと厳しいかも・・・。

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2008年5月15日 (木)

データーシート

いまでは部品のデーターシートを,インターネットで容易に入手することができる。

電子部品などでは必要な部分を型番検索で,ヒットさせることもできるし,製造者のサイトに入り要求事項を入れると部品の候補が瞬時に出てくる。

しかし,データーシートを読みこなして部品を使っているかに関しては,かなり心もとない。

使用条件がゆるければ,最大定格にだけ注意して選択すれば事足りる。

しかし,使い方が厳しいければ,データシートを隅々まで読む必要がある。

昔は,大口の顧客の立場で無い限り,紙ベースの分厚いデーターブックを有料で入手する必要があった。

当時は,データブックの初めの方にさまざまな注意事項や,使用事例,仕様の測定方法が記載されていた。現在は,意識的に「ご使用上の注意」の部分を読まないと,シートの読み方もわからない。

データシートを読みこなすには,どのようなパラメータが自分のつくろうとしている回路のどの特性に影響しているかの解析あるいは感覚が無いと難しい。

記載されたパラメータは,保証されている項目と例示されている項目がある。例示されている項目の特性は設計者自身の責任において,その挙動を掴んでおく必要がある。

データーシートを読めない(どの程度読めないかの問題はあるが)エンジニアは中堅クラスでも珍しくはない。

そういう私も,トランジスタのデータシートを自信を持って読めるようになったのは,30半ば過ぎからであった。

試験回路を組み,多数の部品のばらつきを調べたこともあった。

データーシートをよく読めないからといって,嘆く必要はない。しかし,厳しい条件で使用する部品の選定に際しては,問題とする項目について自分でもその影響を調べて必要があるだろう。

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2008年5月14日 (水)

接合容量

SPICE(回路シミュレータ)でダイオードの接合容量のモデルを確認してみました。

電子チューナーに用いるバラクタダイオード以外には,接合容量と逆電圧のグラフはほとんどデーターシートには載っていません。

接合容量の逆電圧VR依存性をグラフ化するために使用したのは,拡散接合の小信号ダイオードです。

電圧横軸,容量が縦軸の両対数グラフを作成しました。

電圧はVR+VB(ビルトインポテンシャル)で目盛りました。

綺麗に電圧の1/3乗のグラフに乗りました。接合の傾斜係数mは0.33に設定して計算しています。

多くのダイオードの接合容量は,VRを規定してデーターシートに表示されています。VRが高ければ,低い電圧の実働条件では,容量値はもっと大きくなります。

階段接合に近いエピタキシャルタイプのダイオードでは,VRの1/2乗になるでしょう。

SPICEでは,VR=0のときに,0Vバイアス時の容量CJ0と一致しました。

トランシットタイムTTもモデルに入れて計算しましたが,順方向電流が流れ始めると,その効果が出て見かけ上のCjは急速に増大する結果となりました。

高速ダイオードでの容量予測には,与えられた条件でのデーターシート状の容量を0バイアスに換算することと,ダイオードの製法およびトランシット時間を妥当な数値にすることがポイントのようです。

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2008年5月13日 (火)

位取り

_2192 ←庭の片隅に咲いたオダギリ草。別に手入れしているわけではないが,咲くエリアが広がっている。

大きな数と小さな数の乗除算の暗算は,エンジニアにとって生命線のひとつであると考えている。

計算尺の時代には,頭の中で桁を処理していた。その頃は,2桁×2桁の演算結果を有効数字2桁で道具無しに計算できた。

暗算による概算は検討すべき現象の尺度を決め,より精密な解析・設計計算を行うか否かを判断する重要なプロセスのひとつであると思うアナログエンジニアである。

もちろん関連する物理・化学現象の知識も必要になる。

オーダーエスティメートをした上で,私は出あった工学問題をなるべく簡単なモデルから検討を始める。そのモデルで現象の説明がつけば,より定量的な検討に入る。基本的に高校物理+αの知識を総動員して,何が支配的な要因であるか調べるのである。

アナログ現象は多岐に亘るので,この段階で見落とした現象があると,数年,10数年後にやっと問題の本質に気付くこともある。

概算は,何が不足している情報なのか知る手がかりにもなる。

逆に,種々の条件が提示されている場合の数値は,自分が使う条件下で同様の数値とは限らないと感じる。部品のデーターシートも同様である。条件をきちんと提示して測定の構成を示しているデータはそれなりに信用できる。

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2008年5月12日 (月)

無安定マルチの発振周期

_2190 ←庭に咲いた牡丹の花。白花と赤花の株がある。この牡丹の花が散る頃,しゃくやくの花が咲くだろう。

無安定マルチバイブレータの発振周期の公式には,よく0.69(ln2)の数値が出てくる。この値は,初期値-VCCからステップ電圧+VCCで一次遅れ回路を充電したときの出力が0Vとなる点を計算すると出てくる。

実際の2石無安定マルチバイブレータでは,ベース耐圧の関係からVCC=5Vで設計されることが多いので,ベース・エミッタ間電圧:約0.6Vも無視できない。この場合は初期値が-VCC+VBEで,1次遅れ回路であるベース電位が+VBEとなる時刻を計算することになる。実際に計算してみると,案外先の簡略計算に近い数値が出てくる。

2石マルチバイブレータのコレクタ波形は,ステップ波形ではなく,コレクタ抵抗とタイミングコンデンサで決まる1次遅れ波形である。すなわち1次遅れ波形による,1次遅れ回路の応答計算に厳密にはなる。トランジスタをスイッチングさせる関係上,ベース抵抗とコレクタ抵抗の比を10倍程度にしか取れないためである。広い可変範囲のVCOを作るときには問題になる。

このほか,論理ICのシュミットトリガを用いて,入力-GND間にC,入力-出力間にRを接続した発振回路も0.69の係数がかかる。これは+VCCのステップ電圧を入力したときの,入力端子がVCC/3から2VCC/3に変化するのに必要な時間である。

電子回路で0.69の係数を見たら,その背景にある計算根拠を思い出すとともに,ln2を連想していただきたいものである。

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2008年5月 8日 (木)

カンニング

_2191 ←清らかなイメージのスズラン。我が家の庭の片隅に1群落が咲いている。

大学レベルでのテストで教師側の課題はカンニング対策である。

結構,さまざまな手口があるようである。

席順と解答を詳細に解析すれば,オリジナル解答をほぼ特定できる。しかし,それをやって何になる。

試行錯誤の結果,A6 1枚のメモを許可し,それ以外は持ち込み不可とした。

そして,監督の私は,最後部席に陣取って監督する。受験生には私の挙動を掴むわけに行かない。後ろを振り向くわけにはいかないからである。受験生は記憶,公式を実に細かい字でびっしりとA6両面に書き込んで,一夜漬けの勉強をした形跡が残る。もちろん,A6メモは回収する。

この方法は,意外に受験生に勉強させる効果がある。履修範囲を自力でA6両面にまとめるだけの労力と,自分の覚えられない部分の整理に役立つからである。その代わり,同日の他の科目(自分の担当でない教科)の点数は下がる傾向にある。

カンニングの摘発は不愉快な後処理が残るのみで,教師側,学生側双方にメリットが少ない。

実務では,参考書類,情報が得られる中での戦いなので,その類似パターンでカンニング対策,いや,カンニングを許容しての試験もありえた。と思う。ただし,元ネタは自分でつくるように仕向けておく必要がある。

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2008年5月 7日 (水)

技術の伝承雑感

技術・技能の伝承は,伝える相手の向上心なしに成り立たないであろう。

その裏返しが,技術・技能は盗むものであるとの表現に繋がる。この執着心,向上心が多くの若者に無いことが多い。

技術は急速に発展・複雑化してきている。マニュアルも整備されつつあるが,それでは明日の技術に繋がらないのではないか。基本的概念無しに,計測技術を知らないで工学技術の進歩は無いが,現在の技術はどこかのレベルでブッラックボックス化して考えざるを得ない状況にある。しかし,ひとたび基本的な問題が,表面化するとブラックボックス化するレベルを次第に下げて検討を深めることになる。

旧来の基本的な物理現象や工学問題は,学術的研究対象にはなりにくいし,各メーカーにおいても最先端の技術が華やかで,その分野をやらないと出世の可能性は低くなる。

その一方で,ここ数年,小中学校では考えること,学ぶことに再び力を入れ状況は改善されてきているが,ここしばらくは大学のレベル差は拡大すると感じている。高校物理を学ばないで,工学分野での新規なアイディアの創生やCAEツールの限界を知った上での使いこなしも難しい。

アナログエンジニアは,高校物理を入試に課さない大学を信用していない。あまりににも,基礎的概念が不足しており,本来高校で学ぶべきことを大学で教えざるを得ない状況になるためである。

日本には資源も無く国土も狭い。人口も1億と少々。

これからの近日未来は,資源の高騰とグローバルな人的資源のせめぎあいが続くと感じている。

人口でいえば,数億人を越える何カ国が教育に力を入れている。放置しておけば,それでなくとも創造力を発揮するする世代が少子化により減少している。日本は,日本の10倍の人口から選抜された優秀な,向上心の強い国に伍していけるのか?教える側の力量低下も当然問題になろう。

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2008年5月 1日 (木)

入門と実践

大抵の工学は入門があって,次はいきなり実践となる。アナログ電子回路もその傾向が強い。

基本的な回路の設計手順までは公開できるが,実製品の設計手法の詳細はほとんど明らかにされることはない。

慣れてくれば,実回路らしき定数入りの回路図では多くの場合,急所の部分の考え方,定数がさりげなく秘匿されていることがわかる。当然のことである。競争の中で製品を造るポイントは,企業にとって生命線なので,エンジニアにとっては永遠の守秘義務を持つと考えている。

教えてもらうことが当然と考えるエンジニアは,お金を出して学ぶ立場と,給料を貰って仕事する立場の相違がわかっていないと私は考える。この部分はどのように考えて,どのような実験をし,どうまとめるかは疑問をもち課題に気付いた設計者自身が周囲の情報から判断し,本来,解決すべきことである。

お金を貰う以上,プロなのだ。そこにはアマの世界とは異なる世界が果てしなく広がる。技量が上がれば,より未知の地平が見えてくる。

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