仮想短絡による設計
オペアンプ回路を仮想短絡の概念を使って計算するとき,オペアンプは利得無限大,回路が安定などの前提となる。
回路の入出力関係を文字式のまま,解いて自分で設計公式を作る。
簡単な例では,加減算器など4本の抵抗が完全には比例関係を持っていない場合どうなるか,必要な抵抗精度がどの程度になるか,調整機構の素子感度が適切か,などオペアンプ周辺回路を詳しく調べることができる。
目標とする設計性能に対しての周辺回路部品の性能の妥当性を調べ,確認するのだ。
オペアンプ本体の選択には,仮想短絡の概念は使えない。
オフセット電流,オフセット電圧などの影響は,周辺回路の定数が理想的であるものとして,それぞれのモデルで解析する。回路の周波数特性や動特性が影響する場面では,周辺回路やオペアンプのDC特性が理想的であるものとして,それに見合った解析を行い性能予測する。
新しい回路形式には設計公式などないので,種々の項目についてそれぞれ基本的に1項目づつ解析を行う。
一挙に種々の項目について解析しようとすると,式が非常に複雑になり見通しが悪くなるためである。
この設計手順は,良いか悪いかは別としてアナログエンジニアの知恵。
計算に裏付けられて設計された回路は,多くの場合それなりに扱いやすいアナログ回路となる。
先日のべた調整機構などの効き方の予測などには,意外に手間のかかる場合もある。それでも解析・計算で性能予測を行う。
もちろんモデルベースでの設計には限界があり,通常は部分試作をおこなうのが定石である。デジタル回路とは異なり,常に使う部品に依存して,未知の現象があるといってよい。
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