ダイオードのデータシート
ダイオードのデータシートには,ふつう絶対最大定格と電気的特性および特性例が記載されている。
絶対最大定格(通常Ta=25℃で規定)は,この値を超えたら,素子が破壊する恐れがあると考えるべき数値で,使用する側は,これにディレーティングと称して,実使用温度を考慮して余裕のある状態で使用する。
電気的特性の記述は品種によってメーカーによって異なるが,最大,最小,典型値の一部が記載されている例が多い。
最小が記載されている項目は,逆耐電圧などが多い。最大値が記載されている項目には,たとえば高速ダイオードの逆回復時間などがある。この場合は,いくら速くとも差し支えのない使い方をしなさいとの意味である。
特性グラフは例として記載されているので,環境温度変化などに関する特性変化の目安になる。
半導体物理を多少知っているなら,半定量的に傾向はわかる。
商用整流が目的のダイオードでは,サージ電流に関する情報が多く記載されている。これは電子回路では,コンデンサ平滑のため,起動時に大電流が流れるので,平均整流電流の定格を簡単に超えてしまうため,使用者の便宜を図ってくれているのである。
データシートは回路設計の基本になるものであるが,設計に必要な項目がすべては記載されていないの普通である。
大量に使用する場合などでは,当然,半導体メーカはさまざまな+αのデータを持っているので,信頼性データや特性分布などの情報を入手できる場合がある。電子データシート化された現在はアクセスしにくくなったが,故障モードやその比率,信頼性の温度に関する加速データなどの例が,ハンドブック前章やご使用上の注意など記載されていることも多い。
親切なデータシートでは特性の測定回路まで記載されているので,参考になる。
データシート上に記載された情報は貴重で,電子回路の高信頼性設計には欠かせないものである。
必要に応じ,自分の使用条件での特性データを統計処理できる程度のサンプル数のデータを取得する執念を電子回路屋さんに期待したいと考えるアナログエンジニアである。
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