電子計器の接続負荷効果
アナログエンジニアは常に計器の接続負荷効果を意識して測定する。
電圧測定なら,計器の入力抵抗Rmが,被測定回路のインピーダンスRxに対して100分の1以下あれば,誤差は1%以下である。デジタル(テスタ)電圧計ならRxは10MΩなので100kΩの回路を測定すると約-1%の誤差を発生する。
回路が分圧回路であれば,2つの抵抗比が大きければ,低いほうの抵抗値を基準として考える。同程度の抵抗値なら若干補正を加えて,Rmの1/2程度と比較する。こうすることにより,暗算/概算によって現在測定している対象の値に系統的誤差がないか常にチェックするのだ。
抵抗の両端電圧を測るなら,オームの法則に従って,I=V/Rで電流を暗算して求める。
コンデンサの両端電圧を測定する場合には,通常×10の状態で測定する。特に対象とするコンデンサの容量が数100PF以下では,オシロスコープの入力容量が大きな+の系統的誤差ををもたらす。
計器の負荷効果の速算は,可動線輪形電圧計(いわゆるアナログ指針電圧計)では必須の作業である。これをその場でチェックしているのである。
デジタル計器が普及した現在では,1%ではなく0.1%誤差がきちんとした負荷効果補正の基準となろう。
比較的易しい電子計測においても,負荷効果,絶対確度は常に考慮しなければならない。
質量計測なら,空気の浮力補正,重力加速度の測定値を補正しなければ0.1%精度の計測は困難だ。
その場で,自分の測定対象とそのとき使用する計器の補正計算ができて,測定値の正確な判断ができる。
今の大学では,測定する技術を多くの場面で教えていない。
測定は何らかの影響を被測定対象に与える。また温度の影響を受ける。
0.1%の測定精度はきちんとした訓練と計器のトレーサビリティがないと,かなり難しい。
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