破壊試験
私の父は金属スクラップブ回収業をしていた。
使えなくなった金属類を扱っていた。多かったのは金属の切削くずだったが,中には,半製品のままの物や,つかえなくなった機械部品のくずもある。このような金属くずの多くは,寿命を迎えた製品の姿をとどめる。
電気防食に使用した亜鉛の塊がほとんど侵食された残りくず。
キャビテーションにより侵食された青銅のスクリュー。
磨耗した大型モータ整流子。
モノが寿命を迎えたものを見て私は育った。
成長して,電子回路屋となった私は,若い頃から自分の設計したモノの壊れ方にセンシティブであり,また興味を持った。
機会があって,広い時間範囲での種々の電子部品の破壊限界を実験したことがある。
方形波で実験すると,多くの電子部品は,両対数グラフ上で2本の折れ線で近似できる特性を示す。
このような実験には強力なパルス電源が必要であるが,大容量のコンデンサバンクと大型半導体を並列接続して制御した。データ1点につき,1個の部品を少なくとも壊す。時間を一定にして,少しずつ瞬時電力を上げ破壊限界を調べるのである。
破壊限界と時間の関係が,種々の部品について知っていると,電子回路の耐サージ設計を系統的に行うことが出来る。
このときのデータはずっと昔,ある委員会で公開してあるが,今は手元にない。しかし,系統的な耐サージ設計を行うと,悪環境での不慮の事故,原因不明の電子回路の破損を防止することに大きな効果があると今も信じているアナログエンジニアである。
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