昇圧形DC-DCコンバータ
昇圧形DC-DCコンバータは,たとえば5Vから同極性の12Vを得るときに使われる。
一般的な解法は,インダクタンスL1に流れる電流が断続せず,C1は十分大きく,Voに含まれるリプルは小さいとの仮定を設ける。
定常状態では,L1を流れる電流の1周期ごとの変化はないので,
ΔIon=VpTon/L1 , ΔIoff=(Vp-Vo)Toff/L1が成立し,かつΔIon+ΔIoff=0である。
SWのオン期間TonにはL1にVpの電圧が掛かり,オフ期間Toffには,ダイオードの電圧降下を無視して,L1にかかる電圧が(Vp-Vo)となる。
これを解くと,Vo=Vp(Ton+Toff)/Toff=Vp/(1-D),DはSWのオン時比率である。
仮定が成立する負荷領域では,出力負荷が変動してもDは変化しない。
しかし,広い負荷,特に軽負荷時の場合にはこの仮定が成立しない。軽負荷ではL1の電流が断続するので,1周期のエネルギー収支に基づいた解析が必要になる。(この解析を記述した書物は少ない)
計算仮定は複雑になるが,昇圧比が大きい場合にはVo≒VpD√(RL/(2L1f))となる。
実際のDC-DCコンバータでは,軽負荷になるとDを小さくして,出力電圧を一定に保つ必要がある。
また,回路はダイオードの入ったLCR回路となるので,少なくとも起動時の共振を防ぐ必要も生じる。負荷変動に対しても配慮することにより,L1などの主回路の定数が決まってくるのである。
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