回路本の波形図
アナログエンジニアは回路各部の電流・電圧波形の元図作成にSPICEを用いている。
時には原理波形図の作成を行う。この際には,動作に支障のない限り極力寄生素子を削除して,説明に必要十分な綺麗な波形を見せる。原理説明の範囲で予測できる波形と理想波形を一致させるためだ。
時には,素子に必然的に寄生する素子の効果を見せるために,現実より少し強調した波形を見せる。
現実に自分が見た波形を再現することもある。その多くは過渡解析を使っている。
回路シミュレータ:SPICEで波形図を作成する理由は,いくつかあるが,そのひとつは,回路が動く条件を満たさないレベルの簡略しすぎた記述,説明を回避するためである。そして,波形細部の必然的特徴点を残した図を記載するためである。
DC解析を用いて,本物と区別がつかない半導体素子のデータシートまがいの特性図を作成することもある。
私の過去の著作は6冊あるが,SPICEを使わなかった本は1冊もない。
私はアナログ回路設計者になるための視点から,どのような2次的要素を適宜説明し,解析と設計を意識した記述を行ってきた。そのためのSPICE波形である。
アナログ回路において,波形の総ての特徴点に意味がある。それを表現するための手段である。
SPICEは間違っても良いから,回路構成と素子定数を決める技量を必要とする。そして間違った部分を修正するだけの情熱を必要とする。そこから,現実世界のアナログ回路と同様な世界が広がる。
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