ドロッパ式安定化電源
R3,R4の分圧点の電圧がD1+Q1のVBEと等しくなるように主トランジスタQ3,Q4が制御される。
入力電圧INは商用電源変動±10%,トランスの変動率:数%,平滑後のリプル数Vが変動範囲である。
INとOUTの最小電圧差が少なく設計した方が,発熱が少ないが,R2の選択が難しくなる。最悪のQ3のベース電流より大きな電流が,設計の全範囲でR2を流れる必要がある。
また,誤差増幅器Q1のコレクタ電流がIN電圧や出力負荷電流に依存して変化すると,Q1VBEが変動するので,OUT電圧の負荷変動,電源電圧変動が大きくなる。負荷短絡時にQ4のASO(安全動作領域)を越える恐れも生じる。
Q2,Rsは短絡保護回路である。R2を流れる電流が変動すると,IN電圧が高く,低温のときに制限電流は増加する。
OUT電圧に比べてIN電圧を大きく選択すると,R2の選択は楽になるが,消費電力が増して熱設計がその分厳しくなる。
温度係数を小さくするには,Q1VBE+D1≒6.4Vとすれば設計値とすれば,ほぼ0温度係数となる。
このように,アナログ回路ではさまざまなトレードオフ関係があるとともに,絶対的に守らなければならない項目もある。このような設計条件を自分で戦略的に解きほぐし回路定数,部品選択,熱設計を行うのがアナログ回路の本質のひとつであるとアナログエンジニアは考える。
アナログ回路は単一の価値観の世界ではないのだ。
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