最悪設計・統計設計
電子回路は複数の部品性能で回路全体の性能が決まる。一方,目標とする性能が決まっている。
最悪の部品性能が最悪の組み合わせで電子回路を構成したときに目標性能を達成するように設計するのが,ワーストケース設計である。この設計を行うには,どのような組み合わせが最悪であるか解析できていなければならない。
量産規模によるが,少量生産では仕様に対し過剰品質気味(余裕がありすぎる)製品が出来上がる。
統計設計は,各仕様項目に対し素子感度解析を行い回路性能を統計量と扱い,何σの分散すなわち性能未達率を許容して回路設計を行う手法である。最悪設計より解析量は多くなる。そして,可能な限り何よりも設計中心が仕様中心になるように決めることが重要である。
統計設計のレベルも,量産規模依存性を一般にもつ。量産規模によらず,月に1-2ユニットなら許容範囲であろう。各会社の設計方針と設計者の技量にもよるが・・・。
これは,個別部品で組むアナログ回路設計の世界の話である。LSIの世界ではまた違った価値観があるだろう。
アナログエンジニアは,仕様項目の内容に応じて最悪設計法と統計設計法を個人的に使い分けてきた。その理由は,精密アナログ回路では統計的に設計しないとやたら高精度高価格の部品が必要になるからである。
いま,一流のアナログ回路設計者は払底している。
しかし,最悪ケース設計と統計的設計の考え方を実践できなければ,でたとこ勝負の旧来のアナログ屋で終わってしまうだろう。
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