hパラメータは万能か
hパラメータとは,ハイブリッドパラメータの略称で,下記の式により定義されている。
V1=h11・I1+h12・V2
I2=h21・I1+h22・V2
この能動4端子回路は電気・電子回路を学ぶときよく出てくるが,トランジスタ(バイポーラ)の特性を広い範囲で表現できるものではない。コレクタ接地回路(エミッタフォロワ回路)では,モデル式と実際の入出力関係がhパラメータでは大きく異なるので,実務で使ったことはない。
h11はたんにhiと表され入力抵抗と呼ばれる。
h12はhrと表され逆方向電圧利得と呼ばれる。
h21はhfと表され電流利得である。
h22はhoとよばれ,出力アドミタンスとなる。
これらのhパラメータの値は,トランジスタの動作条件により大きく変動し,実務では定数と考えることはできない。
たとえば,エミッタ接地のhパラメータ/入力抵抗はhieと表現されるが,データシートにはほとんど記載されない。hieの値は,能動状態のトランジスタでは,hie=VT/IBでほぼ近似できる。(VT:熱電圧,kT/q,常温で26mV)普段使われておりデーターシートに記載のあるのはhfe位か。
hrはVCEとVBEが低い電圧では,動作条件により大きく変動する。
hoはアーリー効果に強く依存し,かつ直接的にコレクタ電流に依存する。
hパラメータは,初歩的な回路教育にはそれなりの効果があるが,実務ベースでは広い動作条件で成立するトランジスタモデルに基づく回路解析の教育が必要と考えているアナログエンジニアである。
ちなみにMOSFETのhパラメータを考えたらどうなる。多分モデルそのものが作れないであろう。
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