パワーFETの駆動
パワーFETの駆動は容量負荷なので,遅いスイッチング時にはほとんど電力を消費しない。
しかし,高速スイッチングにおいては,0.1A前後のピーク電流を駆動側が供給可能でなければならないので,駆動方法に工夫が必要である。
寄生容量はゲート(G),ソース(S),ドレイン(D)の各端子間にある。
OFF→ONの際には,まずG-S間容量を閾値電圧まで充電する。閾値を越えるとD-S間に電流が流れ始めD-G間の容量がミラー容量となって,充電電流の割りにG-S電圧の上昇が少ない時間帯が生じる。この時間帯が,ドレイン電圧が変化している時間帯であり,実質のSW時間となる。負荷が定電流性ならば,この時間帯においてはG-S電圧はほぼ平坦である。
G-S電圧をオーバードライブすることで,パワーFETは低いON抵抗となる。オーバードライブ電圧は閾値電圧より高いので,通常の駆動方法ではOFF→ONの際にパルス幅が延伸する。
また,ロジックレベル駆動用パワーFET以外では,10V前後までG-S間を駆動するので,5V系ロジック回路からレベル変換してパワーFETを駆動する。この際,5V系と駆動回路の電源の立ち上げ順序が問題になることもある。
パワーMOS-FETでは,D-S間に寄生ダイオードが存在し,このダイオードを高速ダイオードとして積極的に利用する回路もある。回路図に記載されていなくとも,このダイオードがないと動作しない回路もある。
パワーMOS-FET,使い方次第でさまざまな顔を見せる。
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